第18回 言語聴覚士国家試験 第69問
言語発達障害学第18回
自閉症スペクトラム障害に認められる「活動と興味の範囲が著しく限局している」行動を表すのはどれか。
- 1.指さしたものを見ない。
- 2.初めての食べ物は食べない。 ✓
- 3.アイコンタクトが無い。
- 4.まねをしない。
- 5.ジェスチャーの意味が理解できない。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 初めての食べ物は食べない。
自閉症スペクトラム障害(ASD)の診断基準には「限定的で反復的な行動パターン」という項目があります。「活動と興味の範囲が著しく限局」とは、この限定性(restrictiveness)を指し、特定の対象・食べ物・活動などへの「強い執着」や「変化への抵抗」です。初めての食べ物を受け入れない(新奇刺激への回避)は、この限定性の典型的な現れです。一方、1・3・4・5は「社会的コミュニケーションの質的障害」に分類され、限定的行動パターンではなく別の診断基準領域を示します。
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【各選択肢の解説】
1. 指さしたものを見ない。
❌ 誤り。これは「応答的共同注視(指差されたものに注視を向ける能力)」の障害で、社会的コミュニケーションの質的障害に該当します。限定的行動パターンではなく、ASDの「社会的相互作用の質的障害」の側面です。
2. 初めての食べ物は食べない。
✅ 正しい。新奇な刺激への抵抗や変化を嫌う傾向は、「限定的で反復的な行動パターン」の一部です。これはASDの重要な診断基準領域で、同じ食べ物・ルーチン・活動への執着や、それらの変化への過敏な反応を示しています。
3. アイコンタクトが無い。
❌ 誤り。視線接触の障害は「社会的・感情的相互性の障害」として診断基準第1領域(社会的コミュニケーションの質的障害)に分類されます。限定的行動パターンとは独立した診断領域です。
4. まねをしない。
❌ 誤り。模倣(まねること)の障害は「社会的模倣行動の欠如」で、社会的コミュニケーション領域の障害です。共同注視や相互的なやり取りといった社会的能力に関わり、限定的行動パターンではありません。
5. ジェスチャーの意味が理解できない。
❌ 誤り。非言語的コミュニケーション(ジェスチャー理解)の困難は、社会的コミュニケーションの質的障害に該当します。限定的行動パターンではなく、相互的コミュニケーション能力の低下を示しています。
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【試験対策ポイント】
ASDの診断基準(DSM-5)は2つの主要領域で構成:
| 診断基準領域 | 具体的な症状例 |
|---|---|
| **社会的コミュニケーションの質的障害** | ・アイコンタクト欠如/視線接触困難 ・共同注視(指差し理解)の障害 ・模倣行動の欠如 ・非言語的コミュニケーション困難 ・相互的やり取りの困難 |
| **限定的で反復的な行動パターン** | ・新奇刺激への抵抗(初めての食べ物拒否) ・ルーチン・儀式的行動への強い執着 ・同じおもちゃの反復遊び ・変化への過敏な反応 ・感覚刺激への異常な反応(光への敏感さなど) |
【重要な区別】
- 本問で問われた「活動と興味の範囲が著しく限局」→ 診断基準領域2(限定的行動パターン)
- 他の4選択肢はすべて診断基準領域1(社会的コミュニケーションの障害)に該当
- ASDの臨床面接では両領域を必ず評価する必要がある