第25回 言語聴覚士国家試験 第171問
脳性麻痺第25回
重度の脳性麻痺児の発声発語を促すためのアプローチとして適切でないのはどれか
- 1.口鼻呼吸を分離するためにため息を促す
- 2.正確な構音ができるように繰り返し構音訓練を行う ✓
- 3.ゆったりとした呼吸ができるように正しい姿勢を保つ
- 4.子供にあった椅子を用いてリラックスした発声を促す
- 5.食物を使って口腔器官の動きを引き出す
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 正確な構音ができるように繰り返し構音訓練を行う
重度の脳性麻痺児では、運動制御の障害により構音機能が著しく制限されています。このような児に対して「正確な構音」を目標に繰り返し訓練を行うことは、実現不可能な目標を強要することになり、児の挫折感やストレス増加につながる不適切なアプローチです。重度例では構音改善よりも、発声発語の基盤となる呼吸・姿勢・リラックスを整えることが優先されます。
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【各選択肢の解説】
1. 口鼻呼吸を分離するためにため息を促す
✅ 正しい。重度脳性麻痺児は鼻呼吸と口呼吸の分離ができておらず、発話時の呼気流が一定でなくなります。ため息は口呼吸パターンを形成するための基本的で有効なアプローチです。
2. 正確な構音ができるように繰り返し構音訓練を行う
❌ 誤り。重度脳性麻痺児に対して「正確な構音」を目標にすることは不適切です。運動障害が重い場合、完全な構音獲得は困難であり、そうした訓練は児のモチベーション低下につながります。この段階では呼吸・姿勢など基礎的能力の改善が優先されるべきです。
3. ゆったりとした呼吸ができるように正しい姿勢を保つ
✅ 正しい。発声発語の最も重要な基盤は呼吸機能です。脳性麻痺児の異常筋緊張を軽減し、正しい姿勢を保つことで呼気流の安定化と呼吸リズムの改善が得られます。
4. 子供にあった椅子を用いてリラックスした発声を促す
✅ 正しい。適切なサイズの椅子や支持体により、体幹が安定し筋緊張が低下します。リラックス状態は発声の質を改善し、発話意欲の向上につながる有効な環境設定です。
5. 食物を使って口腔器官の動きを引き出す
✅ 正しい。食物による咀嚼刺激は口唇・舌・軟口蓋などの器官の随意的な運動制御を促進します。感覚刺激を利用した運動促進は重度脳性麻痺児への適切なアプローチです。
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【試験対策ポイント】
重度脳性麻痺児の発声発語アプローチの優先順位
| 段階 | 主目標 | 具体的アプローチ |
|---|---|---|
| 1段階(基盤形成) | 呼吸・姿勢・リラックス | 正しい姿勢保持・ため息・環境調整 |
| 2段階(口腔機能) | 器官の運動制御 | 食物刺激・感覚促進 |
| 3段階(発声) | 声の質改善 | リラックス発声・呼気流安定化 |
| 4段階(構音)※軽度例のみ | 正確性 | 構音訓練 |
頻出ポイント:「重度」と「軽度」の区別
- 重度→基礎的能力の改善(呼吸・姿勢)を優先。完全な構音獲得は目標にしない
- 軽度→構音訓練も適応となる可能性がある
誤選択の理由:選択肢2は「一見訓練的で適切に見える」が、重度例では実現不可能な目標であり、児の学習意欲を損なわせるという理由で不適切