第18回 言語聴覚士国家試験 第78問
機能性構音障害第18回
5歳の男児。主訴は構音障害。構音訓練の適応とならないのはどれか。
- 1.発話明瞭度が低い。
- 2./S/が[t]に置換する。
- 3.構音の誤り方に一貫性がある。
- 4.ことばの問題で友人にからかわれる。
- 5.言語発達段階か3歳レベルである。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 言語発達段階が3歳レベルである。
5歳児において言語発達段階が3歳レベルにとどまっている場合、構音訓練の対象ではなく、むしろ言語発達遅滞に対する包括的な言語療法が優先される。構音訓練の適応判定には、「年齢相応の言語基盤が形成されているか」が前提条件となる。言語発達が低い状態での構音訓練は無効であり、先に基礎的な言語能力を向上させることが必要である。
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【各選択肢の解説】
1. 発話明瞭度が低い。
✅ 正しい。発話明瞭度の低さは構音訓練の適応「ある」ことの指標である。聴者に伝わりやすい音韻獲得を目指して訓練を行う必要があり、訓練の必要性を示す主要な理由となる。
2. /S/が[t]に置換する。
✅ 正しい。この置換パターン(歯茎音を歯音に置換)は機能性構音障害に典型的であり、音韻習得の問題で、構音訓練の適応「ある」。5歳でこの誤りが残存していれば訓練の対象となる。
3. 構音の誤り方に一貫性がある。
✅ 正しい。一貫性のある誤りは音韻体系の習得不全を示し、器質的・神経学的問題ではなく機能的な学習問題であることを意味する。これは構音訓練に「最適な適応」の指標である。
4. ことばの問題で友人にからかわれている。
✅ 正しい。社会的な困難が生じている場合、構音訓練による介入が患者のQOL向上に直結する。心理社会的な動機付けや必要性が高く、訓練の適応「ある」理由となる。
5. 言語発達段階が3歳レベルである。
❌ 誤り(適応外)。5歳児で言語発達が3歳相当と大きく遅滞している場合、構音訓練の前提となる言語基盤が不足しており、訓練は無効である。この場合は言語発達遅滞そのものへのアプローチが必須であり、構音訓練は二次的である。
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【試験対策ポイント】
構音訓練の適応判定(スクリーニング基準)
| 項目 | 適応「あり」 | 適応「なし」 |
|---|---|---|
| 言語発達段階 | 年齢相応またはやや低い | 3歳以上の大幅遅滞 |
| 構音の一貫性 | 一貫性「あり」→機能性 | 一貫性「なし」→器質的疑い |
| 音韻体系 | 年齢相応音韻の一部未習得 | 全体的な習得不全 |
| 聴覚・認知 | 正常範囲 | 高度な聴覚障害・認知障害 |
| 社会的必要性 | 発話明瞭度低い・社会的困難 | 実生活で支障なし |
構音訓練が無効・不適応となる場合
- 言語発達遅滞が大きい(発達検査で−2SD以上)
- 高度な聴覚障害→補聴の先行
- 器質的問題(口蓋裂未手術など)→外科治療が優先
- 神経学的進行性疾患→予後改善期待困難
- 認知・学習の大幅な遅滞
機能性構音障害の診断基準(本問の背景知識)
- 構音誤りが「習癖的」「一貫している」
- 聴覚正常
- 構音器官の器質的異常なし
- 神経学的異常なし
- 年齢