第18回 言語聴覚士国家試験 第8問
形成外科学第18回
片側唇顎口蓋裂において正常と異なる構造になっているのはどれか。
a.囗輪筋
b.口蓋帆挙筋
c.顎二腹筋
d.内側翼突筋
e.口角下制筋
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — a, b(口輪筋と口蓋帆挙筋)
片側唇顎口蓋裂では、裂による解剖学的な欠損と異常筋配置が生じます。口輪筋は口唇周囲を環状に走行する筋ですが、裂部では筋線維が正常な配列を失い、断裂した状態になります。口蓋帆挙筋は正常では軟口蓋を挙上する筋で、口蓋骨に付着していますが、裂がある場合には付着点の異常や走行異常が生じます。これに対し、顎二腹筋・内側翼突筋・口角下制筋は口蓋裂の影響を直接受けにくい部位に位置しており、正常構造を保つとされています。
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【各選択肢の解説】
a.口輪筋
✅ 正しい(異常構造)。口唇周囲を環状に走行する口輪筋は、唇顎口蓋裂の裂部では筋線維が断裂し、両側に分かれた異常配置となります。これが後の口唇機能障害(閉口不全など)につながるため、形成外科手術での筋修復が重要な対象となります。
b.口蓋帆挙筋
✅ 正しい(異常構造)。口蓋帆挙筋は口蓋骨の内側翼突棘(または口蓋骨)に付着していますが、口蓋裂では骨の欠損に伴い付着点が異常になります。筋の走行も正中線に向かう正常な配置を失い、側方に偏位した異常配置となるため、軟口蓋の挙上機能が低下します。これは開鼻声などの鼻咽頭閉鎖不全症につながります。
c.顎二腹筋
❌ 誤り(正常構造を保つ)。顎二腹筋は下顎の下行支と後腹部に付着する筋で、口蓋裂の部位より下方に位置するため、直接的な影響を受けません。下顎の運動に関与しており、口蓋の骨欠損の影響を受けにくい構造です。
d.内側翼突筋
❌ 誤り(正常構造を保つ)。内側翼突筋は翼突板(蝶形骨の翼突突起)から下顎角内面に付着し、咀嚼筋として機能します。位置が口蓋裂部位より深層かつ後方にあるため、唇顎口蓋裂の解剖学的異常の直接的な影響を受けません。
e.口角下制筋
❌ 誤り(正常構造を保つ)。口角下制筋は下口唇の口角から下方に走行する表情筋で、口蓋裂よりも下位に位置します。唇顎口蓋裂の影響は上口唇・口蓋領域に限定されるため、この筋の構造は正常に保たれます。
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【試験対策ポイント】
唇顎口蓋裂で異常構造となる筋と正常構造の筋の区別
| 筋 | 位置 | 裂の影響 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 口輪筋 | 口唇周囲 | 異常構造 | 筋線維が裂部で断裂・分離 |
| 口蓋帆挙筋 | 軟口蓋 | 異常構造 | 口蓋骨付着点の欠損で走行異常 |
| 顎二腹筋 | 下顎周囲 | 正常構造 | 下顎に位置し裂の直接影響外 |
| 内側翼突筋 | 深層・後方 | 正常構造 | 翼突板から下顎角で機能 |