第18回 言語聴覚士国家試験 第84問
嚥下障害第18回
嚥下障害に対する頭部挙上訓練について誤っているのはどれか。
- 1.食道入口部の開大を図る。
- 2.頚椎疾患には禁忌である。
- 3.咽頭残留を呈する症例が適応である。
- 4.肩が浮くまで頭部を挙上させる。 ✓
- 5.つま先を見るように頭部を挙上させる。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 肩が浮くまで頭部を挙上させる。
頭部挙上訓練(シャキア運動)の目的は食道入口部の開大と咽頭残留の改善であり、その効果は頭部挙上の角度に依存します。肩が浮くまで過度に挙上させると、むしろ嚥下機構を阻害し、訓練効果が低下するだけでなく、頚椎に負担をかけるため不適切です。適切な実施方法は「つま先を見るように頭部を挙上させる」程度の角度です。
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【各選択肢の解説】
1. 食道入口部の開大を図る。
✅ 正しい。頭部挙上訓練の主要な目的は、舌骨上筋群の収縮を増強し、食道入口部(下咽頭括約筋)の開大を促進することです。
2. 頚椎疾患には禁忌である。
✅ 正しい。頚椎症やヘルニアなど頚椎疾患患者では、頭部挙上による頚椎への負荷増加により症状悪化のリスクがあるため禁忌です。事前に整形外科的評価が必要です。
3. 咽頭残留を呈する症例が適応である。
✅ 正しい。咽頭期後半の咽頭残留(食塊が咽頭腔に残存)は、食道入口部の開大不十分が原因であり、本訓練の主な適応です。
4. 肩が浮くまで頭部を挙上させる。
❌ 誤り。肩が浮くまで過度に挙上させることは、頚椎への過度な負担と嚥下機構の阻害につながり不適切です。訓練の効果は「つま先を見るように」する程度の角度(約45度)で十分とされています。
5. つま先を見るように頭部を挙上させる。
✅ 正しい。これが頭部挙上訓練の標準的な実施指示です。この角度は食道入口部の開大に最適であり、かつ頚椎への負荷も適正範囲内です。
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【試験対策ポイント】
頭部挙上訓練(シャキア運動)の基礎知識
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 食道入口部の開大、舌骨上筋群強化、咽頭残留改善 |
| 適応 | 咽頭期嚥下障害(特に咽頭残留)、食道入口部開大不全 |
| 禁忌 | 頚椎疾患、上肢筋力低下著明、認知機能障害 |
| 実施角度 | つま先を見る程度(約45度が目安) |
| 過度な挙上 | 肩が浮くまでの挙上は避ける |
| 回数 | 3秒×3回×3セット(1日3回程度)推奨 |
嚥下訓練における「過度さは害」という原則:
- 過度な圧力訓練→咽頭疲労・嚥下反射抑制
- 過度な頭部挙上→頚椎負荷・嚥下機構破綻
- 過度な反復→疲労による運動抑制
紛らわしい要素の区別
- シャキア運動=頭部挙上訓練(食道入口部開大)
- メンデルスゾーン運動=舌骨挙上意識(咽頭クリアランス向上)
- 咳嗽訓練=気道保護(誤嚥時の排出)