STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第18回 言語聴覚士国家試験 第88問

吃音第18回
吃音のある10歳の男児。対応として適切でないのはどれか。
  1. 1.流暢性形成の訓練
  2. 2.ことばの言い換えの奨励 ✓
  3. 3.学級担任の吃音への理解要請
  4. 4.本人の吃音への理解促進
  5. 5.他の吃音児との交流

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — ことばの言い換えの奨励 ことばの言い換え(言い直し)の奨励は、吃音児に対する不適切な対応です。言い換えを促すことで、本人が「吃音は悪いもの→言葉を変えれば良い」という否定的な信念を強化し、吃音をさらに意識させてしまいます。これは回避行動を増幅させ、吃音の悪化につながります。現代の吃音治療では、言い換えではなく「吃音を受け入れながら流暢に話す」アプローチが支持されています。 --- 【各選択肢の解説】 1. 流暢性形成の訓練 ✅ 適切です。音の伸延法・ゆっくり話す練習など、吃音児の流暢性を高める訓練は標準的な治療方法です。10歳の学童期において認知能力の発達に応じた訓練が有効です。 2. ことばの言い換えの奨励 ❌ 不適切です。言い換えを奨励すると、吃音児は「この言葉だから吃った→別の言葉にしよう」という回避学習を学びます。結果として吃音への不安が増大し、さらに症状が固定化・悪化する危険があります。 3. 学級担任の吃音への理解要請 ✅ 適切です。学校環境(読み書き・発表場面)での吃音児へのいじめやストレスを軽減するため、担任への啓発は重要な支援です。環境調整は吃音治療の基本です。 4. 本人の吃音への理解促進 ✅ 適切です。吃音が「病気ではなく個性」であり、「吃音について知ることで不安が減る」というメッセージは、認知的アプローチの中核です。学童期は自分の吃音を客観視する段階であり、本人理解は欠かせません。 5. 他の吃音児との交流 ✅ 適切です。吃音児グループやピアサポート活動により「自分だけではない」という認識が得られ、自己肯定感が向上します。また同じ経験を持つ仲間との交流は心理社会的な安定につながります。 --- 【試験対策ポイント】 ■ 吃音の非適切対応と適切対応の比較表 | 対応内容 | 評価 | 根拠 | |---|---|---| | 言い換えの奨励 | ❌ 不適切 | 回避学習→吃音固定化・悪化 | | 「ゆっくり話して」と指導 | ❌ 不適切 | 吃音への過度な注意→緊張増加 | | 流暢性訓練 | ✅ 適切 | 音延・スローな話し方の習得 | | 本人理解促進 | ✅ 適切 | 不安減→自己肯定感向上 | | 環境調整(学校との連携) | ✅ 適切 | ストレス軽減 | | ピアサポート | ✅ 適切 | 同定と心理的安定 | ■ キーワード - 「言い換え」は禁忌:回避行動を学習させる - 「吃音への注意」を向けるNG対応も同じ機序で有害 - 学童期吃音の治療目標:流暢性獲得+吃音受容の両立 - 環境調整が治療の50%を占める ■ よくある誤認 「ことばの言い換え = 本人が言いやすい言葉を探す支援」と思う受験生が多いが、実際には「吃った言葉は避けるべき」という強化学習を作ります。
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