STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第18回 言語聴覚士国家試験 第91問

小児聴覚障害第18回
2歳6か月の高度聴覚障害児。表出語彙は98語。発話は不明瞭であり「パパ カイシヤ」などの意味を示す語連鎖がある。言語指導で優先順位が低いのはどれか。
  1. 1.構音訓練 ✓
  2. 2.生活場面の指示理解
  3. 3.絵日記を用いた経験の言語化
  4. 4.行動のルーチン化
  5. 5.コミュニケーションによる相互交渉

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — 構音訓練 2歳6か月の高度聴覚障害児において、表出語彙98語・語連鎖出現という発達段階では、「音韻体系の習得」が先行しなければ構音訓練の効果が限定的です。聴覚障害児は聴覚フィードバック不全のため、正確な音声模倣そのものが困難であり、この段階では音響的精密さより「理解語彙の拡大」「概念形成」「コミュニケーション機能の発展」が優先度が高いとされています。 --- 【各選択肢の解説】 1. 構音訓練 ❌ 優先順位が低い。高度聴覚障害児は聴覚フィードバックが不十分なため、音韻体系が未確立の段階で構音訓練を行っても効果が限定的です。表出語彙98語・語連鎖出現という段階では、まず言語内容(意味・概念)と言語形式(文法)の発達を優先すべき時期です。音声の明瞭性向上は発達に伴い自然に改善される傾向にあり、この段階では重点を置かないのが言語発達支援の原則です。 2. 生活場面の指示理解 ✅ 優先順位が高い。受容言語(理解語彙)の拡大は言語発達の基盤であり、日常生活の具体的場面での指示理解を通じて、語彙と概念の対応関係を学習させることは最優先課題です。「靴をはこう」「お水を飲もう」など、動作と言語を結びつけることで、語連鎖から文法的理解へと発展させる土台となります。 3. 絵日記を用いた経験の言語化 ✅ 優先順位が高い。自分の経験を言葉で表現する活動は、抽象的な思考力と表現力を同時に発達させます。「パパ カイシャ」という語連鎖は2語構文の萌芽であり、これを文的構造へ発展させるための具体的手段として、視覚的支援(絵日記)を用いた言語化は重要な介入です。 4. 行動のルーチン化 ✅ 優先順位が高い。予測可能な場面設定(朝のルーチン、食事時の流れなど)は、聴覚障害児が環境との相互作用を通じて言語意味を構築するための基盤となります。ルーチン化された文脈では、同じ語句が繰り返し使用され、より効果的に言語学習が進みます。 5. コミュニケーションによる相互交渉 ✅ 優先順位が高い。語連鎖出現という段階は、相互的なコミュニケーション欲求が言語発達を促進する時期です。大人とのやり取りを通じた「共同注意」と「相互性」の構築は、言語発達全般の最優先課題です。 --- 【試験対策ポイント】 | 段階 | 月齢 | 言語発達段階 | 優先課題 | |---|---|---|---| | 初期 | 0~12ヶ月 | 音声出現~初語前 | 聴覚活用・音響認識 | | 語彙増加期 | 12~24ヶ月 | 初語~語彙爆発 | 受容語彙拡大・概念形成 | | 語連鎖期 | 24~36ヶ月 | 2語文出現 | 文法基盤・相互交渉 | | 文法構造期 | 36ヶ月~ | 複文理解 | 読み書き導入 | キーワード: ・高度聴覚障害児における構音訓練は「発達段階」により優先度が決まる ・表出語彙98語=月齢相応(2歳6
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