第18回 言語聴覚士国家試験 第92問
成人聴覚障害第18回
思春期にある先天性高度聴覚障害児の精神保健の支援の視点として重要度が低いのはどれか。
- 1.手指法の使用
- 2.帰属意識の形成
- 3.流暢性の形成 ✓
- 4.障害の認識
- 5.自己効力感の向上
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 流暢性の形成
思春期の先天性高度聴覚障害児の精神保健支援では、「流暢性の形成」は直接的には精神保健の課題ではなく、言語療法などの言語発達支援に属する内容です。一方、帰属意識、障害認識、自己効力感の向上は思春期特有の心理社会的課題であり、精神保健的支援として重要です。
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【各選択肢の解説】
1. 手指法の使用
✅ 正しい。手指法(日本手話等)はろう文化・ろう社会への接続、アイデンティティ形成の重要なツールとなります。コミュニケーション手段の獲得は思春期の精神発達を支える基盤です。
2. 帰属意識の形成
✅ 正しい。思春期は「ろう児か聴児か」のアイデンティティの葛藤が生じやすい時期です。ろう文化への帰属意識の形成は、心理的安定性と自己肯定感に直結する精神保健上の重要課題です。
3. 流暢性の形成
❌ 誤り。流暢性の形成は構音療法・音声療法・発話支援などの「言語機能改善」に分類される内容であり、精神保健の支援よりも言語療法領域の課題です。思春期の精神保健支援としては優先度が低い項目です。
4. 障害の認識
✅ 正しい。思春期は「なぜ自分は聞こえないのか」という障害受容の心理過程が現れる時期です。障害の科学的理解と心理的受容は、メンタルヘルスの安定に不可欠です。
5. 自己効力感の向上
✅ 正しい。聴覚障害による制限と可能性の現実的理解、自分でできることへの確信形成は、思春期の抑うつ・不安予防に直結する精神保健支援の中核です。
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【試験対策ポイント】
精神保健支援(心理社会的課題)vs. 言語療法的支援の区別
| 領域 | 内容例 | 思春期の重要度 |
|---|---|---|
| 精神保健 | 帰属意識・自己効力感・障害認識 | 高い |
| 言語療法 | 流暢性・構音改善・発話支援 | 相対的に低い* |
*ただし言語療法自体の重要度は高いが、「精神保健の支援」という観点では優先順位が低い
思春期ろう児の心理的発達課題:
- ろう社会へのアクセスと文化的アイデンティティ形成
- 「障害者」としての自己像と「ろう者」としての肯定的自己像の統合
- 仲間集団(ろう児同士)との関係構築の重要性が増加
- 親や教育者との関係から同年代集団への心理的シフト