第18回 言語聴覚士国家試験 第93問
成人聴覚障害第18回
老人性難聴の病理として誤っているのはどれか。
- 1.血管条の萎縮
- 2.耳石の剥脱 ✓
- 3.有毛細胞の減少
- 4.ラセン神経節細胞の減少
- 5.脳幹神経伝導路核の神経変性
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 耳石の剥脱
老人性難聴(加齢性難聴)の主な病理学的変化は内耳の器官(血管条・コルチ器・ラセン神経節)における退行性変化です。耳石の剥脱は前庭系の障害であり、老人性難聴の病理には含まれません。老人性難聴は主に感音性難聴として進行し、聴覚障害が中心となります。
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【各選択肢の解説】
1. 血管条の萎縮
✅ 正しい。血管条は内耳のリンパ液産生と電解質調整を担う組織で、老人性難聴では血管条の委縮が代表的な病理変化です。これに伴い内リンパ液の産生低下も生じます。
2. 耳石の剥脱
❌ 誤り。耳石(炭酸カルシウム結晶)は卵形嚢・球形嚢に存在し、重力・加速度の知覚に関わる前庭系の器官です。耳石の問題(剥脱・移動)は良性発作性頭位めまい症(BPPV)など前庭障害の原因であり、老人性難聴の聴覚障害とは無関係です。
3. 有毛細胞の減少
✅ 正しい。コルチ器の内有毛細胞および外有毛細胞が加齢に伴い減少・消失します。特に高周波数領域から障害が進行するため、老人性難聴の典型的な高音域から始まる感音難聴の原因となります。
4. ラセン神経節細胞の減少
✅ 正しい。ラセン神経節の神経細胞(聴神経ニューロン)が加齢により減少します。これは聴覚神経路全体の変性を引き起こし、有毛細胞の障害と共に感音難聴を進行させます。
5. 脳幹神経伝導路核の神経変性
✅ 正しい。老人性難聴は末梢(内耳)の変化だけでなく、脳幹の聴覚伝導路(蝸牛核・上オリブ複合体など)の神経変性も伴います。これは中枢聴覚処理障害として言語理解困難(特に雑音環境での聴取低下)につながります。
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【試験対策ポイント】
老人性難聴の病理学的変化(4つの重要部位):
| 部位 | 変化 | 結果 |
|---|---|---|
| 血管条 | 萎縮・委萎 | 内リンパ液産生低下 |
| コルチ器 | 有毛細胞減少(高音域優位) | 高音障害の感音難聴 |
| ラセン神経節 | 神経細胞減少 | 聴神経伝導障害 |
| 脳幹核 | 神経変性 | 中枢聴覚処理低下 |
耳石系との区別:
- 耳石関連疾患:BPPV、メニエール病(内リンパ水腫)→前庭障害・めまい
- 老人性難聴:聴覚系障害→聴力低下・言語理解困難
キーワード:老人性難聴は「高周波数から始まる感音難聴」「複数レベルでの退行性変化」が特徴。単一の耳石障害は該当しない。