第18回 言語聴覚士国家試験 第95問
聴力検査第18回
純音聴力検査のマスキングについて誤っているのはどれか。
- 1.気導の両耳間移行減衰量はおよそ50~60dBである。
- 2.マスキングは良聴耳側の陰影聴取を防ぐ。
- 3.骨導の両耳間移行減衰量は15dB未満である。
- 4.オーバーマスキングによって測定される聴力閾値は上昇する。
- 5.外耳道閉鎖効果で低音の骨導閾値は上昇する。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 外耳道閉鎖効果で低音の骨導閾値は上昇する。
外耳道閉鎖効果(occlusion effect)は、骨導音検査時にマスキング受聴耳の外耳道を密閉(ヘッドフォンなど)することで、低音の骨導閾値が「低下」します。この選択肢は「上昇」と述べているため誤りです。外耳道が閉鎖されると共鳴周波数が変わり、特に250Hz以下で閾値が改善(低下)するのが特徴です。
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【各選択肢の解説】
1. 気導の両耳間移行減衰量はおよそ50~60dBである。
✅ 正しい。気導音は頭部を通じて伝わる際に、両耳間での強度差が大きく、50~60dBの減衰量があります。このため高強度の気導刺激を一側耳に与えると、対耳にも聞こえてしまい、マスキングが必要になります。
2. マスキングは良聴耳側の陰影聴取を防ぐ。
✅ 正しい。測定対象耳の聴力が著しく悪い場合、高強度の音が骨導や気導で良聴耳に伝わり、良聴耳の聴力で反応してしまう(陰影聴取)ことを防ぐのがマスキングの目的です。
3. 骨導の両耳間移行減衰量は15dB未満である。
✅ 正しい。骨導音は頭蓋骨を通じて直接両耳の内耳に伝わるため、両耳間での減衰量は非常に小さく、15dB未満です。このため骨導検査ではマスキングがより厳密に必要になります。
4. オーバーマスキングによって測定される聴力閾値は上昇する。
✅ 正しい。オーバーマスキング(過度なマスキング)により、本来の測定耳の感度以上にマスク音が加わるため、見かけ上の聴力閾値が悪く(高く)測定されます。マスキングレベルの調整は極めて重要です。
5. 外耳道閉鎖効果で低音の骨導閾値は上昇する。
❌ 誤り。外耳道閉鎖効果では低音(特に250Hz以下)の骨導閾値は「低下」します。外耳道が密閉されることで共鳴特性が変わり、低音がより効率的に内耳に伝わるため、閾値が改善(値が小さくなる)するのです。「上昇」は誤りです。
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【試験対策ポイント】
マスキング概念の整理:
| 項目 | 気導 | 骨導 |
|---|---|---|
| 両耳間移行減衰量 | 50~60dB(大きい) | 15dB未満(小さい) |
| マスキング必要性 | 感度差が大きいと必要 | より厳密に必要 |
| 陰影聴取の起こりやすさ | 低強度でも起こりやすい | 高強度時に起こりやすい |
外耳道閉鎖効果(重要な否定知識):
- 低音の骨導閾値は「低下」(上昇ではない)
- 250Hz以下で特に顕著
- ヘッドフォン装着時に自分の声が大きく聞こえるのと同じ原理
- マスキング耳の外耳道密閉により発生
オーバーマスキングの危険性:
- マスク音が測定耳にも回り込む
- 見かけ上、閾値が「悪く」測定される
- マスキング量の調整が臨床的スキルとして重要