第18回 言語聴覚士国家試験 第96問
聴力検査第18回
聴覚補充現象を反映しないのはどれか。
- 1.OAE ✓
- 2.SISI検査
- 3.ABLB検査
- 4.不快閾値と聴覚閾値との差
- 5.自記オージオメトリ
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — OAE
OAE(耳音響放射)は蝸牛外有毛細胞の機械的振動を検出する検査であり、聴覚補充現象(感音難聴における異常な音圧感受性の増加)を反映しません。補充現象は内有毛細胞と中枢聴覚路の機能に関連するため、蝸牛の機械的応答のみを測定するOAEでは捉えることができないのです。
---
【各選択肢の解説】
1. OAE
❌ 誤り。OAEは外有毛細胞由来の微弱な音響エネルギーを測定しており、聴覚補充現象(内有毛細胞~中枢の異常な増幅)とは別の機序を反映しています。
2. SISI検査
✅ 正しい。小さい増分に対する感度の異常亢進(Sensitivity Index)を測定し、補充現象を直接的に反映します。補充現象がある場合、小さな音圧変化に対して異常に敏感に反応するため、SISI値が高くなります。
3. ABLB検査
✅ 正しい。異聴尺度検査(Alternate Binaural Loudness Balance)は、両耳の等ラウドネス点を求め、健聴耳と難聴耳の音響増幅パターンの違いを検出します。補充現象のある難聴耳では異常な成長が見られます。
4. 不快閾値と聴覚閾値との差
✅ 正しい。補充現象があると両者の差(ダイナミックレンジ)が縮小します。感音難聴で補充現象がある場合、聴覚閾値は上昇しても不快閾値の上昇は軽度にとどまるため、この差が特異的に減少します。
5. 自記オージオメトリ
✅ 正しい。自記オージオメトリは被検者自身が音響反応を記録し、補充現象のある感音難聴では特有のパターン(Jerger II型など)が見られます。上昇脚と下降脚の乖離が大きくなることで補充現象を反映します。
---
【試験対策ポイント】
聴覚補充現象とは
- 感音難聴で見られる異常現象
- 聴覚閾値は上昇しているが、高い音圧では健聴者と同程度の音響感受性を示す
- 原因:内有毛細胞~蝸牛神経の機能異常時に、中枢聴覚路の異常な増幅が生じる
補充現象の検出方法の比較
| 検査 | 測定対象 | 補充現象の反映 |
|---|---|---|
| OAE | 外有毛細胞の機械的応答 | 反映しない(末梢機械系のみ) |
| SISI | 小増分識別能 | 反映する(内有毛細胞感度) |
| ABLB | 両耳のラウドネス不均衡 | 反映する(両側の増幅差) |
| 不快閾値-聴覚閾値 | ダイナミックレンジ | 反映する(範囲縮小) |
| 自記オージオメトリ | 被検者報告による反応パターン | 反映する(上下脚乖離) |
頻出紛らわしい点
- OAEは「正常」でも聴覚補充現象が存在する場合がある(内有毛細胞機能が温存されている場合)
- 補充現象=必ず感音難聴ではなく、内有毛細胞より中枢の障害を示唆