第18回 言語聴覚士国家試験 第97問
補聴器・人工内耳第18回
補聴器について正しいのはどれか。
- 1.最大出力音圧は装用者の耳内で測定する。
- 2.ポケット型補聴器が最もハウリングを起こしやすい。
- 3.CROS補聴器のマイクロホンは非良聴耳側に装用する。 ✓
- 4.イヤモールドは外耳道の第一屈曲部まで挿入する。
- 5.FM補聴器を使うとSN比は低下する。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — CROS補聴器のマイクロホンは非良聴耳側に装用する。
CROS(Contralateral Routing of Signals)補聴器は、一側高度難聴の患者が良聴耳で音声を受け取ることを目的とします。非良聴耳側のマイクロホンが音を拾い、ワイヤレス送信で良聴耳側のレシーバーに伝送されるため、両耳での音場定位が可能になります。これが一側難聴患者の補聴効果を最大化する原理です。
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【各選択肢の解説】
1. 最大出力音圧は装用者の耳内で測定する。
❌ 誤り。最大出力音圧は「カプラ内」(標準2cc クプラ)で測定されます。規格測定は統一性が必要なため、耳内という個人差が大きい部位では測定しません。
2. ポケット型補聴器が最もハウリングを起こしやすい。
❌ 誤り。ハウリングは「マイクロホンとレシーバーの距離が近い」ほど起こりやすく、補聴器の形態によってはマイク・レシーバー間距離が関係します。実際には補聴器内の距離や周囲の反射条件に依存し、形態だけでは特定できません。むしろ耳あな型のほうが外耳道での反射によりハウリングが起こりやすいとされています。
3. CROS補聴器のマイクロホンは非良聴耳側に装用する。
✅ 正しい。CROS補聴器の原理として、聴力のない(悪い)側の耳にマイクロホンを装用し、そこで捉えた音を良聴耳側へワイヤレス送信します。これにより一側難聴患者が両耳定位を獲得できます。
4. イヤモールドは外耳道の第一屈曲部まで挿入する。
❌ 誤り。イヤモールドは「外耳道の第一屈曲部を越えて、第二屈曲部手前」まで挿入されます。第一屈曲部までは不十分であり、適切な密閉性とハウリング制御が得られません。
5. FM補聴器を使うとSN比は低下する。
❌ 誤り。FM補聴器(FM無線式補聴器)は、話者の近くにFMマイクロホンを装用し、その信号を直接補聴器に送信することで、「背景雑音に対する話音の相対的な強さ」が改善され、SN比は向上(低下しない)します。これが補聴器教室や学校現場で使用される理由です。
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【試験対策ポイント】
補聴器の基本用語と特性の区別
| 項目 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 最大出力 | 2cc カプラ内で規格測定 | 耳内測定ではない |
| ハウリング | マイク・レシーバー距離に依存 | 耳あな型が起こりやすい傾向 |
| CROS補聴器 | 非良聴耳側マイク→良聴耳側レシーバー | 一側難聴患者の両耳定位を実現 |
| イヤモールド | 第一屈曲部を越えて挿入 | 密閉性が重要 |
| FM補聴器 | SN比向上(話者近くのマイク使用) | 学校・講義で活躍 |
キーワード:「CROS=非良聴耳側へマイク」「FM=SN比向上」「カプラ内測定」