第19回 言語聴覚士国家試験 第110問
呼吸系第19回
COPD(慢性閉塞性肺疾患)に対する呼吸リハビリテーションについて誤っているのはどれか。
- 1.腹式呼吸が有効である。
- 2.口すぼめ呼吸が有効である。
- 3.スクイージングは排痰法のひとつである。
- 4.1秒率の低下を目標とする。 ✓
- 5.6分間歩行距離(6MD)の延長を目標とする。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 1秒率の低下を目標とする。
COPD呼吸リハビリテーションの目標は「機能改善」であり、1秒率(FEV1/FVC)は閉塞性障害を示す検査値です。リハビリテーションで1秒率を低下させることは目標ではなく、むしろ呼吸困難の軽減や運動耐容能の改善を目指します。他の選択肢は全てCOPD呼吸リハビリテーションの確立された有効な方法です。
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【各選択肢の解説】
1. 腹式呼吸が有効である。
✅ 正しい。COPD患者は胸式呼吸に傾きやすく、横隔膜の有効活動が低下します。腹式呼吸により横隔膜の効率的な活動を促進し、呼吸筋の仕事量低減や換気効率の改善につながります。
2. 口すぼめ呼吸が有効である。
✅ 正しい。気道内圧を上昇させて気道虚脱を防ぎ、呼気時間を延長し、より効率的なガス交換を実現します。COPD患者に最も推奨される呼吸法です。
3. スクイージングは排痰法のひとつである。
✅ 正しい。スクイージングは「絞る」という意味で、胸部圧迫による排痰技法です。特に喀痰が困難なCOPD患者に対して、呼気時の胸部手圧迫により分泌物の排出を促進します。
4. 1秒率の低下を目標とする。
❌ 誤り。1秒率は閉塞性障害の程度を示す客観指標であり、リハビリテーション直後の短期的改善は期待できません。むしろ呼吸困難スケール(修正mMRC)の改善、運動耐容能向上、QOL改善を目標とします。
5. 6分間歩行距離(6MD)の延長を目標とする。
✅ 正しい。6分間歩行テストはCOPD患者の運動耐容能を評価する標準的検査法で、呼吸リハビリテーション効果の重要な指標です。リハビリテーション後の6MD延長は患者の実生活における活動性向上を反映します。
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【試験対策ポイント】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| COPD呼吸リハビリテーション有効な方法 | 腹式呼吸/口すぼめ呼吸/スクイージング/Pursed-lip breathing |
| 評価指標(改善可能) | 呼吸困難(mMRC低下)/6MD延長/QOL向上 |
| 評価指標(改善困難) | 1秒率(FEV1/FVC)←肺機能検査値は短期改善しない |
| 重要な誤解 | リハビリテーション≠肺機能数値改善。むしろ「機能障害を持ちながらいかに活動を維持するか」が目標 |
| スクイージング | 排痰手技/呼気時の胸部圧迫/分泌物多い患者に有効 |
注)1秒率低下は「改善しない」のではなく「目標にならない」という点がポイント。肺機能検査の改善ではなく、症状緩和と活動性向上に焦点を当てることがCOPD呼吸リハビリテーションの本質です。