第19回 言語聴覚士国家試験 第113問
臨床神経学第19回
誤っている組み合わせはどれか。
- 1.すくみ足 ― パーキンソン病
- 2.突進歩行 ― 進行性筋ジストロフィー ✓
- 3.痙性片麻痺歩行 ― 被殼出血
- 4.はさみ歩行 ― ミエロパチー
- 5.失調歩行 ― 脊髄小脳変性症
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 突進歩行 ― 進行性筋ジストロフィー
突進歩行(加速歩行)はパーキンソン病に特徴的な歩行異常です。進行性筋ジストロフィーは弛緩性筋力低下によりトレンデレンブルグ跛行(患側骨盤下垂)を呈しますが、突進歩行は認められません。
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【各選択肢の解説】
1. すくみ足 ― パーキンソン病
✅ 正しい。パーキンソン病に特徴的な歩行異常で、歩き始めに足が床に貼り付いたように進まなくなる症状です。黒質ドーパミン神経の変性による運動緩慢性の表現です。
2. 突進歩行 ― 進行性筋ジストロフィー
❌ 誤り。突進歩行はパーキンソン病の特徴です。運動開始後に歩行速度が加速する(本人が止められない)現象で、ドーパミン欠乏に伴う。進行性筋ジストロフィーでは脚部の筋力低下のみで、突進歩行は出現しません。むしろTrendelenburg歩行を呈します。
3. 痙性片麻痺歩行 ― 被殼出血
✅ 正しい。被殼出血は内包を損傷し、錐体路障害となり痙性片麻痺を呈します。下肢の筋緊張亢進により尖足となり、患肢を外転させながら引きずるようなサーベルのような歩行形態を示します。
4. はさみ歩行 ― ミエロパチー
✅ 正しい。脊髄障害(脊髄炎、脊髄空洞症など)による両下肢の痙性麻痺で、両膝が靴の鋏のように交差する歩行になります。痙縮が強い場合に典型的です。
5. 失調歩行 ― 脊髄小脳変性症
✅ 正しい。脊髄小脳変性症は小脳障害により、広くて不規則な歩幅の失調歩行(ふらつく、蛇行)を呈します。足の置く位置が不安定になります。
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【試験対策ポイント】
パーキンソン病の歩行異常(3つセット)
- すくみ足(freezing):歩き始めの足が前に出ない
- 突進歩行(festinating gait):開始後に加速して止まらない
- 小刻み歩行(shuffling):歩幅が小さく、足を引きずる
各疾患と歩行異常の対応表
| 疾患 | 神経障害部位 | 歩行異常 |
|---|---|---|
| パーキンソン病 | 黒質(ドーパミン↓) | すくみ足・突進歩行・小刻み歩行 |
| 脳出血(被殼) | 内包(錐体路) | 痙性片麻痺歩行(尖足、サーベル様) |
| ミエロパチー | 脊髄(両側錐体路) | はさみ歩行(痙縮による) |
| 脊髄小脳変性症 | 小脳 | 失調歩行(広くふらふら) |
| 進行性筋ジストロフィー | 骨格筋 | Trendelenburg歩行(患側骨盤下垂) |
重要:進行性筋ジストロフィーの特徴
- 筋力低下そのものが原因
- 骨盤挙上筋(中殿筋)の弱化により患側骨盤が下がる
- 突進歩行や痙縮性変化は伴わない