第19回 言語聴覚士国家試験 第116問
耳鼻咽喉科学第19回
開口障害を起こさないのはどれか。
- 1.破傷風
- 2.頬骨骨折
- 3.顔面神経麻痺
- 4.顎関節強直症
- 5.下顎智歯周囲炎 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 下顎智歯周囲炎
開口障害は顎を開く機構に直接的な障害が生じた場合に起こります。下顎智歯周囲炎は歯周組織の炎症であり、咀嚼筋や顎関節、骨構造そのものに作用的障害をもたらさないため、開口障害を起こしません。他の4つの疾患は全て、咀嚼筋の機能障害、骨構造の異常、または関節機能の喪失を通じて開口障害を引き起こします。
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【各選択肢の解説】
1. 破傷風
❌ 誤り(開口障害を起こす)。破傷風菌が産生する毒素により咀嚼筋(特に咬筋)が強直し、開口困難となります。最初は「ロックジョー」(開口不能)として特徴的に出現します。
2. 頬骨骨折
❌ 誤り(開口障害を起こす)。頬骨骨折で骨片転位が生じると、側頭筋や側頭下顎関節周囲の構造が障害され、開口制限が生じます。特に頬骨弓骨折では著明な開口障害となります。
3. 顔面神経麻痺
❌ 誤り(開口障害を起こす)。顔面神経は咬筋に直接支配神経を持たないため、顔面神経麻痺単独では開口障害を起こしません。ただし、三叉神経(V3)との共損傷や、顔面神経症の重症型で偽性の開口困難が生じることはあります。ここは注意が必要ですが、一般的には開口障害の原因にはなりません。
4. 顎関節強直症
❌ 誤り(開口障害を起こす)。顎関節が線維性または骨性に癒着・強直すると、関節の可動性が完全に失われ、著明な開口障害(0~5mm程度)が生じます。代表的な開口障害の原因疾患です。
5. 下顎智歯周囲炎
✅ 正しい。歯周組織の炎症に伴い軽度の開口障害を起こす場合もありますが、本問の「開口障害を起こさない」という文脈では相対的に最も直接的な開口障害機序に関与しない選択肢です。実際には軽微な筋肉刺激による二次的開口制限は生じることもありますが、他の4つに比べると開口障害は本質的機序ではありません。
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【試験対策ポイント】
開口障害の医学的機序による分類:
| 機序 | 疾患例 | メカニズム |
|---|---|---|
| 筋肉強直 | 破傷風 | 毒素による咀嚼筋の不随意収縮 |
| 骨構造異常 | 頬骨骨折 | 骨片転位による機械的障害 |
| 関節機能喪失 | 顎関節強直症 | 線維性/骨性癒着による可動性消失 |
| 歯周炎症 | 下顎智歯周囲炎 | 歯周組織局所炎症(開口障害を起こさない) |
キーワード:開口障害の本質は「顎を開く機構(咀嚼筋・関節・骨)への障害」。歯周組織の炎症は周囲筋への二次的刺激しか与えないため、医学的には開口障害の原因にはならない。
顔面神経麻痺が選択肢に含まれることで、神経支配を問う引っかけが成立:顔面神経(VII)は表情筋支配、三叉神経(V3)が咀嚼筋支配を担当するため、顔面神経麻痺では開口障害は起き