STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第19回 言語聴覚士国家試験 第121問

聴覚系第19回
正しいのはどれか。
  1. 1.音の方向覚に耳介は関与しない。
  2. 2.蝸牛の頂回転は高音域の音の知覚に関与する。
  3. 3.大きな音ほど蝸牛の周波数同調特性は鋭いものになる。
  4. 4.内有毛細胞は求心神経線維を介して音情報を中枢に伝達する。 ✓
  5. 5.卵形嚢は角加速度を感知する。

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 内有毛細胞は求心神経線維を介して音情報を中枢に伝達する。 内有毛細胞は蝸牛内で音響刺激を受け、その機械的変位をニューロトランスミッタ放出による電気信号に変換し、蝸牛神経(Ⅷ脳神経の求心線維)を通じて中枢(蝸牛核)へ音情報を伝達する。これが聴覚情報処理の最初の段階である。 --- 【各選択肢の解説】 1. 音の方向覚に耳介は関与しない。 ❌ 誤り。耳介は音の方向覚に重要な役割を果たす。特に垂直面での音源定位(高さ判定)に耳介の複雑な形態が関与し、周波数帯域によって異なる共鳴特性を示すことで、脳が音の来源を判断する。水平面での定位は両耳時間差・強度差が主だが、垂直方向では耳介形態による時間遅延パターンが重要である。 2. 蝸牛の頂回転は高音域の音の知覚に関与する。 ❌ 誤り。蝸牛内の周波数同調機構は「基底回転が高音、頂回転が低音」を担当する(逆である)。Tonotopic organizationにより基底回転(卵形嚢寄り)に高音感受性細胞が、頂回転(螺旋靱帯寄り)に低音感受性細胞が配列している。これはベッセルの仮説によって説明される。 3. 大きな音ほど蝸牛の周波数同調特性は鋭いものになる。 ❌ 誤り。音圧が大きくなると周波数同調特性は逆に「ぼやける」(先鋭性が低下する)。これは外有毛細胞の能動的増幅機能が音圧に依存し、大音量では圧縮作用が働いて、周波数選択性が悪くなることで説明される。小さい音ほど先鋭性が高い。 4. 内有毛細胞は求心神経線維を介して音情報を中枢に伝達する。 ✅ 正しい。内有毛細胞は音響刺激をシナプス伝達により蝸牛神経の求心線維(遠心神経ではない)へ伝える。蝸牛神経は脳幹の蝸牛核へ直結し、その後上オリーブ核などで両側統合される。外有毛細胞とは異なり、内有毛細胞は中枢への情報伝達が役割である。 5. 卵形嚢は角加速度を感知する。 ❌ 誤り。卵形嚢は直線加速度(並進加速度)を感知する。角加速度(回転加速度)を感知するのは三半規管にある膨大部の感覚細胞(クプラ)である。球形嚢と卵形嚢は静止状態での重力感知も行う(重力受容)。 --- 【試験対策ポイント】 内耳の感覚器官と機能 | 器官 | 刺激様式 | 感知内容 | |---|---|---| | 球形嚢 | 直線加速度・重力 | 上下方向(垂直) | | 卵形嚢 | 直線加速度・重力 | 前後左右方向(水平) | | 三半規管(膨大部) | 角加速度 | 回転運動 | | 蝸牛 | 音波 | 周波数・強度 | 蝸牛の周波数配列(重要) - 基底回転:高音 → 周波数同調が先鋭 - 中間回転:中音 - 頂回転:低音 → 周波数同調が鈍い
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