第19回 言語聴覚士国家試験 第124問
学習心理学第19回
条件づけによって、エレベータの中に入ると「心迫が高まる」という反応が強化されているとする。正しいはどれか。
- 1.この反応は古典的条件付けによって成立している。 ✓
- 2.この反応は変間隔スケジュールよって強化されたと考えられる。
- 3.この反応が自動車の中でも生じるようになることを分化という。
- 4.この反応が汎化した反応であれば消去することができない。
- 5.内的な要因によってこの反応が生じなくなることを自発的回復という。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — この反応は古典的条件付けによって成立している。
エレベータという「環境刺激(条件刺激)」に対して「心迫が高まる」という「自動的な身体反応(条件反応)」が形成されているという設定です。これは本人の意志とは無関係に自動的に生じる反応であり、古典的条件付けの典型例です。恐怖症の形成機序として心理学の教科書でも頻出の現象です。
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【各選択肢の解説】
1. この反応は古典的条件付けによって成立している。
✅ 正しい。エレベータという環境(条件刺激)と心迫の高まり(条件反応)という自動的な反応の結合が形成されています。これは古典的条件付けの定義そのものです。恐怖症やPTSDの学習メカニズムとしても説明されます。
2. この反応は変間隔スケジュールよって強化されたと考えられる。
❌ 誤り。変間隔スケジュールはオペラント条件付けの強化スケジュール(「何回目かわからない間隔で報酬がもらえる」)です。古典的条件付けには強化スケジュールという概念は適用されません。また、反応の強化が「狭い空間」「密閉感」などの本来的な不安刺激にあるため、スケジュール云々ではなく無条件刺激との随伴性の問題です。
3. この反応が自動車の中でも生じるようになることを分化という。
❌ 誤り。この現象は「汎化」です。エレベータで形成された条件反応が、類似した環境(自動車の密閉空間)へも広がることを汎化といいます。分化は反対に「刺激を識別して、特定の刺激にのみ反応する学習」(例:危険な犬には反応するが安全な犬には反応しない)です。
4. この反応が汎化した反応であれば消去することができない。
❌ 誤り。汎化の有無と消去可能性は無関係です。汎化した反応であっても消去手続き(条件刺激の繰り返し提示で無条件刺激を伴わない)によって消去可能です。むしろ、汎化範囲が広いほど、複数の刺激に対して消去手続きを繰り返す必要が生じるだけです。
5. 内的な要因によってこの反応が生じなくなることを自発的回復という。
❌ 誤り。自発的回復は「時間経過によって消去されたはずの反応が復活する現象」です。「内的な要因によって生じなくなる」ことではなく、むしろ「消失したかのように見えた反応が時間がたつと自動的に復活する」という他動的な過程です。また表現として「内的要因」という用語も不適切です。
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【試験対策ポイント】
古典的条件付け vs オペラント条件付け
| 項目 | 古典的条件付け | オペラント条件付け |
|---|---|---|
| 反応の性質 | 自動的・反射的 | 自発的・目的志向的 |
| 強化の概念 | あり(ただしスケジュール概念なし) | スケジュール概念あり(固定比率・変比率など) |
| 例 | 恐怖症・条件反射 | 報酬による学習・動作の習得 |
汎化 vs 分化
| 汎化 | 分化 |
|---|---|
| 条件刺激に似た刺激にも反応が生じる | 刺激を識別して特定刺激のみに反応 |
| 範囲拡大 | 範囲縮小 |
| 例:蛇恐怖→ロープにも反応 | 例:危険な犬だけに恐怖反