第19回 言語聴覚士国家試験 第14問
内科学第19回
非弁膜症性心房細動での脳塞栓の再発予防で最も有効な治療薬はどれか。
- 1.降圧薬
- 2.抗凝固薬 ✓
- 3.強心薬
- 4.血栓溶解薬
- 5.抗不整脈薬
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 抗凝固薬
非弁膜症性心房細動は心房の不規則な収縮により血流が停滞し、左心房内に血栓が形成されやすくなります。この血栓が脳動脈に流入して脳塞栓を起こすため、再発予防にはワルファリンやDOAC(直接トロンビン阻害薬など)による抗凝固療法が最も有効で、ガイドラインでも推奨されています。
---
【各選択肢の解説】
1. 降圧薬
❌ 誤り。降圧薬は高血圧の管理に有用ですが、既に形成された血栓の予防や塞栓の再発防止には直接的な効果がありません。心房細動そのものの予防には関与しますが、塞栓再発予防という直接的目標には不十分です。
2. 抗凝固薬
✅ 正しい。ワルファリン(INR 2.0~3.0)やDOAC(アピキサバン・ダビガトランなど)により、心房細動に伴う血栓形成を抑制し、脳塞栓の再発を約70~80%低減できます。非弁膜症性心房細動の塞栓予防はCHA₂DS₂-VAScスコアで適応を判定します。
3. 強心薬
❌ 誤り。強心薬は心拍出量を増加させ心不全症状を改善しますが、心房細動時の血栓形成メカニズム(血流停滞)を根本的には解決しません。脳塞栓再発の直接的予防にはなりません。
4. 血栓溶解薬
❌ 誤り。血栓溶解薬は既に生じた脳塞栓の急性期治療に用いられますが、再発予防薬ではありません。慢性的な再発予防には抗凝固療法が必須です。
5. 抗不整脈薬
❌ 誤り。アミオダロンなどの抗不整脈薬は心房細動の発作を抑制・予防しますが、既に心房細動が存在する場合の血栓形成を直接的には防ぎません。心房細動の発症予防と塞栓予防は別の課題です。
---
【試験対策ポイント】
**非弁膜症性心房細動と脳塞栓予防**
| 治療薬 | 機序 | 脳塞栓予防効果 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 抗凝固薬(ワルファリン・DOAC) | 凝固因子を阻害し血栓形成を抑制 | **◎ 最有効** | 再発予防(第一選択) |
| 抗血小板薬(アスピリン) | 血小板凝集を阻害 | △ 劣位 | 補助的・相対的適応 |
| 抗不整脈薬 | 心房細動の発作を抑制 | × | 不整脈そのものの予防 |
| 降圧薬 | 血圧低下 | × | リスク因子の管理 |
| 強心薬 | 心拍出量増加 | × | 心不全管理 |
**CHA₂DS₂-VAScスコア(抗凝固薬の適応判定)**
- C:心不全(1点)
- H:高血圧(1点)
- A₂:年齢≧75歳(2点)
- D:糖尿病(1点)
- S₂:脳卒中・TIA・塞栓症既往(2点)
- V:血管疾患(1点)
- A:年齢65~74歳(1点)
- Sc:女性(1点)
→ スコア0:抗凝固薬不要 / スコア1:個別判定 / スコア≧2:抗凝固薬推奨