第19回 言語聴覚士国家試験 第146問
言語発達学第19回
会話能力の発達で適切なのはどれか。
- 1.話し手と聞き手の交替の原型は乳児期前半から存在する。 ✓
- 2.幼児期の会話能力はスクリプト知識の発達を基礎とする。
- 3.幼児期までは会話の開始は唐突である。
- 4.相手に適切なタイミングでフィードバックする能力は幼児期に完成する。
- 5.発話スタイルの使い分けは学童期から出現する。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 話し手と聞き手の交替の原型は乳児期前半から存在する。
乳児期前半(生後数ヶ月)から、養護者との相互作用(ターンテイキング)の基礎が形成されます。赤ちゃんが泣く→養護者が応答する、といった単純な往復的交替は、後の会話能力発達における重要な基盤となります。この相互交替性は乳児期の初期段階から存在し、言語発達の土台を作ります。
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【各選択肢の解説】
1. 話し手と聞き手の交替の原型は乳児期前半から存在する。
✅ 正しい。生後数ヶ月の赤ちゃんと養護者の相互作用には既にターンテイキング(交替性)が見られます。これが後の会話構造発達の基礎となります。
2. 幼児期の会話能力はスクリプト知識の発達を基礎とする。
❌ 誤り。スクリプト知識(「朝起きて歯を磨く」といった日常的な事象の順序的知識)は確かに発達しますが、会話能力そのもの(ターンテイキング・聞き手への配慮)の基礎ではなく、会話内容の充実度を高めるものです。基礎はより早期の乳児期の相互作用にあります。
3. 幼児期までは会話の開始は唐突である。
❌ 誤り。学童期に入ると「ねえ、聞いて」など社会的に適切な会話開始が習得されるようになりますが、幼児期後期には既に相手の注意を引く工夫が見られ始めます。「唐突である」という絶対的特徴は正確ではありません。
4. 相手に適切なタイミングでフィードバックする能力は幼児期に完成する。
❌ 誤り。幼児期には基本的なターンテイキングが可能になりますが、相手の発話を聞いて適切に応答・反応する高度な能力は学童期さらに思春期にかけて段階的に洗練されていきます。「完成」は時期尚早です。
5. 発話スタイルの使い分けは学童期から出現する。
❌ 誤り。発話スタイルの使い分け(敬語の習得・場面に応じた話し方)は学童期以降本格化しますが、既に幼児期後期から年上の人へ丁寧に話す、友達には砕けた話し方をするなどの萌芽が見られます。「学童期から出現」は必ずしも初出を示していません。
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【試験対策ポイント】
|段階|主要な会話能力の発達|
|---|---|
|乳児期前半(0-6ヶ月)|相互交替性(ターンテイキング)の原型|
|乳児期後半(6-12ヶ月)|応答の洗練、相互作用の深化|
|幼児期前期(1-2歳)|二語文と同時に簡単な会話の開始|
|幼児期中期(2-3歳)|会話の継続、簡単な質問応答|
|幼児期後期(3-5歳)|相手への配慮、場面認識の萌芽|
|学童期(6歳-)|敬語習得、発話スタイルの本格化|
重要:「○○期に完成」「○○期から出現」という選択肢は慎重に。発達は段階的であり、「萌芽→洗練」のプロセスを見分けることが鍵です。