第19回 言語聴覚士国家試験 第155問
失語症第19回
失語症における復唱障害の要因でないのはどれか。
- 1.音韻処理障害
- 2.語音認知の障害
- 3.発話運動の障害
- 4.聴覚的把持の障害
- 5.語の意味理解障害 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 語の意味理解障害
復唱は「聞こえた音を脳内で保持し、同じ音を発出する」という音韻レベルの処理であり、語の意味理解を必須としません。意味理解障害があっても、音韻的に完全な復唱は可能です(Wernicke失語で意味理解が悪くても復唱良好な場合がある)。したがって、復唱障害の直接的な要因ではなく、むしろ他の3つの失語症タイプ(Broca失語・伝導失語・全失語)で復唱が悪い理由と異なります。
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【各選択肢の解説】
1. 音韻処理障害
✅ 正しい。復唱は聞こえた音を音韻レベルで処理・保持し、同じ音韻系列で発出する過程です。音韻処理が障害されると復唱が悪くなります(伝導失語の主要な障害機序)。
2. 語音認知の障害
✅ 正しい。音韻的に「何が聞こえたか」を認識できなければ、正確に復唱することは不可能です。語音認知の障害は聴覚的な音韻弁別能力の低下を意味し、復唱障害につながります。
3. 発話運動の障害
✅ 正しい。聞こえた音を認識できても、その音を運動実行できなければ復唱は不可能です。Broca失語で非流暢だが理解・復唱が良好な場合、発話運動障害が軽い証拠となります。
4. 聴覚的把持の障害
✅ 正しい。聞こえた音を短期記憶内に保持できなければ、長い文や複数の音を復唱できません。聴覚的ワーキングメモリの容量低下は復唱障害の原因になります。
5. 語の意味理解障害
❌ 誤り。語義が理解できなくても、音韻的には正確に復唱できます。Wernicke失語患者が意味不明な復唱をしながらも音韻的に正確に発音する現象がその例です。復唱には意味理解は必要条件ではありません。
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【試験対策ポイント】
復唱障害の直接的要因:
| 要因 | 説明 | 関連する失語症 |
|---|---|---|
| 音韻処理障害 | 聞こえた音の符号化・処理障害 | 伝導失語 |
| 語音認知障害 | 音韻弁別能力の低下 | 全失語・Wernicke失語 |
| 聴覚的把持障害 | 短期記憶容量の低下 | 伝導失語 |
| 発話運動障害 | 音をしゃべる実行能力の低下 | Broca失語・全失語 |
復唱が良好な失語症:
- 命名失語(流暢・理解良好・復唱良好)
- 超皮質性運動失語(理解良好・復唱良好)
重要な区別:
- 「意味理解」と「音韻処理」は独立した経路
- 理解が悪くても復唱が良い=意味経路と音韻経路は分離可能(Wernicke失語)
- 理解は良いが復唱が悪い=音韻ループの損傷(伝導失語)