第19回 言語聴覚士国家試験 第158問
失語症第19回
PACEについて正しいのはどれか。
- 1.失語症者が情報の送り手、言語聴覚士が情報の受け手となるよう役割を固定する。
- 2.事前に情報の送り手と受け手とで伝達する情報について確認する。
- 3.情報の受け手は伝達された内容についてフィードバックを行う。 ✓
- 4.情報の送り手は発話を用いることが禁じられる。
- 5.統語構造の正確さを重視する。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 情報の受け手は伝達された内容についてフィードバックを行う。
PACE(Promoting Aphasic Communicative Effectiveness)は失語症者の実用的コミュニケーション能力を改善することを目的とした治療法です。送り手が実際に伝えたい情報について、受け手が理解できたかどうかを確認するフィードバックが治療の核となります。このフィードバックを通じて、失語症者は様々な補償手段(身振り・描画・文字など)を試行錯誤しながら習得していきます。
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【各選択肢の解説】
1. 失語症者が情報の送り手、言語聴覚士が情報の受け手となるよう役割を固定する。
❌ 誤り。PACEの重要な特徴は「役割交代」にあります。失語症者が送り手になることもあれば受け手になることもあり、この役割交代を通じて自然なコミュニケーション場面に近い訓練環境を作ります。常に失語症者が送り手というわけではありません。
2. 事前に情報の送り手と受け手とで伝達する情報について確認する。
❌ 誤り。PACEでは送り手が受け手に「未知の情報」を伝えることが原則です。あらかじめ情報を確認してしまうと、真の意味でのコミュニケーション場面にならず、訓練効果が低下します。
3. 情報の受け手は伝達された内容についてフィードバックを行う。
✅ 正しい。受け手が「理解できたか・できなかったか」「正確に理解できたか」をフィードバックすることで、送り手は自分のコミュニケーション試行がどの程度機能したかを知ります。このプロセスが実用的コミュニケーション能力の改善につながります。
4. 情報の送り手は発話を用いることが禁じられる。
❌ 誤り。PACEでは発話を含む「全ての表現手段(マルチモーダル)」を奨励します。禁止されるのではなく、むしろ身振り・描画・文字など多様な手段を試行することで、実用的なコミュニケーション戦略を習得させます。
5. 統語構造の正確さを重視する。
❌ 誤り。PACEは「内容が相手に伝わること」を重視し、統語構造の正確さは二次的です。むしろ文法的に不完全でも相手に理解されるコミュニケーションを褒め、実用性を最優先します。
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【試験対策ポイント】
PACE(Promoting Aphasic Communicative Effective)の特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 基本原則 | 未知の情報を送り手が受け手に伝える |
| 役割 | 定期的に送受信を交代(自然な会話に近い) |
| 表現手段 | すべてのモダリティ(発話・身振り・描画・文字)を許可・奨励 |
| フィードバック | 受け手が理解度を伝える(治療の核) |
| 評価重点 | 内容の伝達成功(統語的正確さではない) |
| 目的 | 実用的・実際的なコミュニケーション能力の改善 |
他の失語症訓練法との相違
| 訓練法 | 特徴 | PACEとの違い |
|---|---|---|
| 命名訓練(語彙訓練) | 語彙の想起・表出に特化 | 統合的・実用的コミュニケーション重視 |
| 言語遊戯・ゲーム | ルールに従った活動 | 自由度が高く、試行錯誤を許容 |
| CIU (Correct Information Units) | 正確さと効率を測定