第19回 言語聴覚士国家試験 第161問
高次脳機能障害第19回
誤っているのはどれか。
- 1.道具使用のパントマイム障害は観念運動失行に分類される。
- 2.運動無視は励まされることで改善する。
- 3.観念性失行では道具への到達動作にも障害がみられる。 ✓
- 4.肢節運動失行では指分離が不良になる。
- 5.拮抗性失行は左手の異常行動である。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 観念性失行では道具への到達動作にも障害がみられる
観念性失行は「複数の動作を系列的に組み合わせた動作」が障害される症候で、個々の到達動作や把握動作は比較的保持されています。道具への到達動作(リーチング)は小脳・頭頂葉の空間認識機能に関連し、観念性失行の障害部位(頭頂葉後部~劣頭頂小葉)とは異なるため、この選択肢は誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 道具使用のパントマイム障害は観念運動失行に分類される
✅ 正しい。観念運動失行は道具の使用方法を習得・実行できない障害であり、空のパントマイム(道具を持たずに動作を行う)が特に障害されます。
2. 運動無視は励まされることで改善する
✅ 正しい。運動無視は注意機能の低下に伴う症候であり、環境刺激や励ましなどの外的キューにより一時的に改善することが知られています。
3. 観念性失行では道具への到達動作にも障害がみられる
❌ 誤り。観念性失行は複数動作の系列遂行が障害され、到達動作や把握動作は保持されます。到達動作の障害は運動失調性失行に該当します。
4. 肢節運動失行では指分離が不良になる
✅ 正しい。肢節運動失行は個々の関節の細微な運動制御が障害される症候で、指の分離・精緻運動(タッピング、指の開閉など)が低下します。
5. 拮抗性失行は左手の異常行動である
✅ 正しい。拮抗性失行は右脳損傷時に左手が無意識のうちに目的と異なる動作をする症候です。「左手が勝手に動く」とも表現されます。
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【試験対策ポイント】
観念運動失行と観念性失行の比較表:
| 特徴 | 観念運動失行 | 観念性失行 |
|---|---|---|
| 障害される動作 | 単一動作 | 複数動作の系列遂行 |
| 道具の使用 | 方法を忘れる | 系列が不明確 |
| パントマイム | 特に障害される | やや保持される場合も |
| 到達動作 | 保持される | 保持される |
| 損傷部位 | 上頭頂小葉 | 劣頭頂小葉~角回 |
失行の分類(5分類):
- 観念運動失行:道具使用方法の喪失
- 観念性失行:複数動作の系列遂行障害
- 肢節運動失行:指分離・精緻運動不良
- 運動失調性失行:協調運動障害
- 拮抗性失行:対側肢の無意識異常行動
キーワード:
- 「到達動作は保持」→観念性失行は道具への接近は可能
- 「励ましで改善」→運動無視の特徴(注意機能に基づくため)
- 「左手が勝手に」→拮抗性失行=右脳損傷