第19回 言語聴覚士国家試験 第169問
言語発達障害学第19回
特異的言語発達障害児の中心となる指導で正しいのはどれか。
a.文字指導
b.統語指導
c.語用指導
d.構音指導
e.文章の復唱指導
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:1番
解説
# 第19回 第169問 解説
■ 正答:1番 — a,b(文字指導・統語指導)
特異的言語発達障害(SLI: Specific Language Impairment)は、知的発達・聴覚・情緒・神経学的異常がないにもかかわらず言語発達のみが遅れる状態で、特に**統語(文法)**の習得困難が中核的特徴です。また、就学期以降は読み書き(文字言語)への移行支援も重要な指導領域となるため、a(文字指導)とb(統語指導)を含む1番が正答です。
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【各選択肢の解説】
a. 文字指導
✅ 正しい。SLI児は音韻処理の弱さから読み書き困難(ディスレクシア)を高率に合併します。就学期には話し言葉の遅れが文字言語(読み書き)の習得困難に直結するため、文字指導は中心的指導の一つとして位置づけられます。
b. 統語指導
✅ 正しい。SLIの最も典型的な症状は統語・文法障害(助詞の誤用、動詞活用の誤り、複文理解の困難など)です。統語体系の形成支援は指導の中核です。
c. 語用指導
❌ 誤り。語用障害は自閉スペクトラム症(ASD)や社会的コミュニケーション障害の中心的特徴であり、SLIの本態ではありません。SLIでは場面に応じた言語使用は比較的保たれ、形式面(音韻・統語)の障害が主体です。
d. 構音指導
❌ 誤り。SLIは「言語体系(語彙・統語)」の障害であり、音の産生そのものの障害ではありません。構音障害が併存する場合のみ追加的に行います。
e. 文章の復唱指導
❌ 誤り。非語反復や文復唱はSLIの**アセスメント(診断指標)**として有用ですが、復唱練習そのものを中心的訓練とはしません。文脈に即した言語使用の習得にはつながりにくいためです。
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【試験対策ポイント】
SLIと他障害の区別:
| 障害 | 中心的困難 | 主たる指導 |
|---|---|---|
| **SLI** | **統語・語彙・音韻** | **統語指導+文字指導** |
| ASD/社会的コミュニケーション障害 | 語用 | 語用指導 |
| 機能性構音障害 | 音の産生 | 構音指導 |
| ディスレクシア | 読み書き | 文字・音韻指導 |
重要ポイント:
- SLIの本態=**形式面(統語・音韻)の障害**であり、**語用面は相対的に保たれる**(ASDとの鑑別点)
- 非語反復課題の低成績はSLIの**臨床マーカー**
- SLI児はディスレクシア合併率が高く、**文字指導**が重要課題
- 「特異的」=知的・聴覚・情緒・運動に問題がないのに言語のみ遅れる
紛らわしい点:
「語用障害=コミュニケーション障害全般」と拡大解釈して c を選びがちですが、語用障害はASD系の中心症状であり、SLIでは統語・音韻など**言語形式の習得困難**が主題である点を明確に区別しましょう。