第19回 言語聴覚士国家試験 第170問
言語発達障害学第19回
小学校2年生の注意欠陥╱多動性障害児の学校での対応において誤っているのはどれか。
- 1.最前列の先生に一番近い席にする。
- 2.テスト問題は少しずつ渡し、できたら次を渡すようにする。
- 3.隣にはしっかりした児童を配置する。
- 4.具体的な役割を与えて活動させる。
- 5.不適切な行動には、その都度繰り返し言い聞かせる。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 不適切な行動には、その都度繰り返し言い聞かせる
ADHD児に対する「その都度繰り返し言い聞かせる」という対応は、実際には効果的ではありません。むしろADHD児は衝動性と注意散漫の特性から、言語的な注意や指導だけでは行動改善に結びつきにくく、同じ指導を何度も繰り返すことで児童と教育者の双方にストレスが蓄積します。効果的な対応は「物理的環境調整」「タスク分割」「明確な役割提示」であり、これらは他の選択肢で適切に示されています。
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【各選択肢の解説】
1. 最前列の先生に一番近い席にする
✅ 正しい。教師の監視下に置くことで、衝動的行動の抑制と注意集中が促進されます。また、聞き取りやすい距離は注意散漫を減らします。
2. テスト問題は少しずつ渡し、できたら次を渡すようにする
✅ 正しい。過度な認知負荷を軽減し、達成感を細切れで与えることで動機づけと集中力が向上します。ADHD児への環境設定の標準的手法です。
3. 隣にはしっかりした児童を配置する
✅ 正しい。ピアモデリング(モデル児童の行動をみることで学習)の効果が期待でき、また隣席からの適切な支援(視覚的合図など)が行動改善につながります。
4. 具体的な役割を与えて活動させる
✅ 正しい。ADHD児は明確な目的と責任感が与えられると集中力が向上し、自己肯定感も高まります。曖昧で開放的なタスクより、具体性が重要です。
5. 不適切な行動には、その都度繰り返し言い聞かせる
❌ 誤り。言語的叱責や繰り返し指導はADHD児に対する有効な行動改善方略ではなく、むしろ関係性を損傷させます。代わりに即座の行動的フィードバック(トークン経済制度など)や環境調整が必要です。
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【試験対策ポイント】
ADHD児への学校対応:環境設定と行動管理の原則
| 有効な対応 | 理由 | 該当選択肢 |
|---|---|---|
| 物理的環境調整 | 視覚的刺激を減らし、教師の監視を増やす | 1番 |
| タスク分割・段階化 | 認知負荷軽減&達成感の小分け化 | 2番 |
| ピアモデリング | 身近な児童の適切行動を観察学習 | 3番 |
| 具体的役割付与 | 動機づけと責任感の醸成 | 4番 |
| ❌ 言語的繰り返し叱責 | 効果がなく、ストレス蓄積・関係性悪化 | 5番 |
重要概念:ADHD児は「わかっていない」のではなく「実行機能と衝動制御の脳機能障害」→言語的説教は奏功しない