STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第19回 言語聴覚士国家試験 第171問

言語発達障害学第19回
小学校2年生の発達性読み書き障害の男児。視覚認知障害はない。仮名文字の指導で正しいのはどれか。 a.音韻意識を高める。 b.書く指導より読む指導から始める。 c.読みの速さの指導はしない。 d.語彙は指導しない。 e.トレースや模写を繰り返し指導する。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — a,b 発達性読み書き障害(限局性学習障害)における仮名文字指導では、音韻処理の弱さに直接アプローチすることが最優先です。音韻意識を高める指導と、読むという認知的に単純な課題から始めることが、文字習得の基礎を確立します。視覚認知障害がないという情報は、この児童が音韻処理を重点的に支援する対象であることを示唆しています。 --- 【各選択肢の解説】 a. 音韻意識を高める。 ✅ 正しい。発達性読み書き障害の中核的な困難は音韻処理能力の低下にあります。音韻意識(音を認識・操作する能力)を段階的に高める指導(音の頭文字、リズム、音節分解など)は、仮名文字の習得に直結する最も根拠ある方法です。 b. 書く指導より読む指導から始める。 ✅ 正しい。読む行為は視覚入力→音韻変換の一方向的処理であり、書く行為は音韻→運動出力と段階が多く複雑です。認知的負荷の低い読む指導から始めることで、確実な文字音韻対応関係を構築してから書く指導に進むべきです。 c. 読みの速さの指導はしない。 ❌ 誤り。読みの速さ(読字流暢性)の改善は発達性読み書き障害の指導目標の一つです。むしろ、正確性が確立した後、繰り返し読み練習や段階的な速読訓練を組み入れることで、自動化を促進します。 d. 語彙は指導しない。 ❌ 誤り。語彙指導は読み書き指導の重要な補助手段です。音韻意識と語彙(意味知識)の両者が協働することで、文字習得が促進されます。特に仮名文字の習得段階では語彙知識が理解を支えます。 e. トレースや模写を繰り返し指導する。 ❌ 誤り。視覚認知障害がないと明記されているため、視覚運動協応(トレース・模写)の反復指導は優先度が低く、むしろ時間効率を損なう可能性があります。音韻処理の弱さに対して、視覚・運動面へのアプローチは本質的解決にならず、限られた指導時間の無駄遣いになります。 --- 【試験対策ポイント】 発達性読み書き障害(限局性学習障害)の指導原則 | 観点 | ポイント | |---|---| | **中核的困難** | 音韻処理能力の低下(視覚認知障害はない場合が多い) | | **指導優先順位** | 音韻意識↑ > 語彙 > 流暢性 > 運動スキル | | **読み vs 書き** | 読む(単純)→ 書く(複雑)の順 | | **トレース・模写** | 視覚認知障害がない場合は不要・優先度低 | | **読みの速さ** | 無視してよい焦点ではなく、正確性後に改善対象 | キーワード:「視覚認知障害がない」→ 音韻処理重視の指導設計
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