STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第19回 言語聴覚士国家試験 第173問

言語発達障害学第19回
自閉症スペクトラム障害児との会話における配慮について適切でないのはどれか。
  1. 1.指さしで答えられるように絵や写真などを用意する。
  2. 2.話し手が順番にマイクを持つなど会話が一方的にならないようにする。
  3. 3.実物やイラストを用いて質問の意図が分かりやすいようにする。
  4. 4.同じ質問を繰り返す場合はその都度答えるようにする。 ✓
  5. 5.子供の興味・関心に沿った話題を提供する。

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 同じ質問を繰り返す場合はその都度答えるようにする 自閉症スペクトラム障害(ASD)児は常同行動や興味の偏り、社会的相互作用の困難さが特徴です。同じ質問の繰り返しは「常同行動」の一部であり、これに「その都度答える」という対応は行動を強化・維持させてしまい、より適応的な会話行動の学習を阻害します。むしろ一定の構造化と行動の新しい方向づけが必要です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 指さしで答えられるように絵や写真などを用意する。 ✅ 適切。ASD児は言語的指示理解の困難さがあるため、視覚的支援(絵カード・写真)により指さし反応という非言語的選択肢を提供することは、理解の確認と会話参加を促進します。 2. 話し手が順番にマイクを持つなど会話が一方的にならないようにする。 ✅ 適切。ASD児は相互的なやり取りが苦手で、一方的な発話や相手の話を遮ることがあります。視覚的に「順番」を示す具体的な構造化(マイクの受け渡し)は相互的会話スキルの育成に有効です。 3. 実物やイラストを用いて質問の意図が分かりやすいようにする。 ✅ 適切。抽象的な言語理解の困難さを補うため、視覚的具体性を高めることは ASD児の理解促進の標準的配慮です。 4. 同じ質問を繰り返す場合はその都度答えるようにする。 ❌ 不適切。ASD児の常同行動(同じ質問の繰り返し)に対して毎回応答することは、その行動を強化します。行動分析学的には「消去」や「行動の方向づけ変更」が必要であり、無限に繰り返される質問には段階的に応答頻度を減らすか、別の活動への転換を促すべきです。 5. 子供の興味・関心に沿った話題を提供する。 ✅ 適切。ASD児の限局的・反復的な興味は変化しにくいため、その興味を活用することで動機づけを高め、会話への参加意欲を引き出すのは実証的に有効な戦略です。 --- 【試験対策ポイント】 ASD児への会話支援:「視覚的支援」「構造化」「行動の強化と消去」の理解が鍵 | 配慮の原則 | 具体例 | 根拠 | |---|---|---| | 視覚的支援 | 絵カード・写真・イラスト | 言語的指示理解の困難を補う | | 相互的やり取りの構造化 | マイク渡し・順番表示 | 一方的発話を減らす | | 具体性の提供 | 実物・イラストによる説明 | 抽象的言語理解の困難を補う | | 興味の活用 | 限局的興味を話題に | 動機づけ向上 | | 常同行動への対応 | 繰り返しに応答しない・消去 | 不適応行動を維持・強化しない | 頻出ポイント:「適切でない」問題では、ASD児の「常同行動を強化する対応」が選択肢に含まれることが多い。行動分析学の「強化」「消去」概念の理解が合否分岐点。
関連

▶ 第19回 全問一覧

▶ 言語発達障害学 の過去問一覧