第19回 言語聴覚士国家試験 第176問
音声障害第19回
プロテーゼを用いた気管食道シャント発声について誤っているのはどれか。
- 1.肺からの呼気を用いる。
- 2.比較的短期間に習得できる。
- 3.発声時に気管孔を閉鎖する。
- 4.下咽頭食道粘膜を音源とする。
- 5.食道発声は不可能である。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 食道発声は不可能である。
気管食道シャント発声(TEP:tracheoesophageal puncture)を選択した患者であっても、食道発声の習得は理論的に可能です。実際には、TEP発声と食道発声の両方を習得している患者も存在します。したがって、「食道発声は不可能」という記述は誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 肺からの呼気を用いる。
✅ 正しい。気管食道シャント発声は、肺からの呼気を気管孔から食道に流入させて、下咽頭食道粘膜を振動させることで発声する方法です。食道発声(胃からの空気を用いる)とは異なります。
2. 比較的短期間に習得できる。
✅ 正しい。気管食道シャント発声は、肺からの呼気を直接利用するため、胃からの空気を貯蓄して調整する食道発声よりも習得が容易で、習得期間は短いとされています。
3. 発声時に気管孔を閉鎖する。
✅ 正しい。発声時には気管孔をシャント弁を通じて閉鎖(あるいは気管孔を手で塞ぐ)して、肺からの呼気を食道に向かわせる必要があります。この閉鎖がないと、呼気が気管孔から漏出してしまいます。
4. 下咽頭食道粘膜を音源とする。
✅ 正しい。気管食道シャント発声も食道発声も、下咽頭食道粘膜(ネオ声帯)の振動を音源として利用します。肺からの呼気が直接この粘膜を振動させることで音声が生成されます。
5. 食道発声は不可能である。
❌ 誤り。気管食道シャント発声を選択した患者であっても、食道発声の習得は可能です。実際には両方の発声法を習得している患者も報告されています。「不可能」という絶対的な制限はありません。
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【試験対策ポイント】
気管食道シャント発声 vs 食道発声の比較
| 項目 | 気管食道シャント発声 | 食道発声 |
|---|---|---|
| 使用する空気源 | 肺(呼気) | 胃(空気摂取) |
| 音源 | 下咽頭食道粘膜 | 下咽頭食道粘膜 |
| 習得期間 | 短期間(数週〜数ヶ月) | 長期間(数ヶ月〜1年以上) |
| 習得難度 | 比較的容易 | 困難 |
| 音量・音質 | 比較的良好 | 個人差が大きい |
| 併用 | 食道発声との両立は可能 | 可能 |
重要否定知識:
- 「シャント発声を習得したら食道発声は不可能」という制限はない
- 気管孔閉鎖は「選択的」ではなく「必須」
- 喉頭全摘出後の発声法として、気管食道シャント発声は最も現実的な第一選択肢