第19回 言語聴覚士国家試験 第180問
器質性構音障害第19回
口唇口蓋裂児において口蓋形成術を1歳6か月に行った。術後早期に行うべきなのはどれか。
a.哺乳指導
b.構音訓練
c.ラッパを吹く練習
d.頬を膨らませる練習
e.ホッツ(Hotz)床の装着
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c.ラッパを吹く練習、d.頬を膨らませる練習
口蓋形成術直後は、手術部位の創傷治癒を優先させるべき時期です。この時期の治療は「創傷を損傷しない」という原則に基づき、非侵襲的で軟部組織に負担をかけない活動に限定されます。ラッパ吹きと頬膨らまし練習は、口腔内への直接的な刺激を避けながら、呼気制御と口腔内圧の形成を促進する準備的訓練として最適です。
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【各選択肢の解説】
a. 哺乳指導
❌ 誤り。術後早期には不適切です。口蓋形成術後の食物摂取は医学的判断(一般に7~10日後から経口開始)に基づいており、術直後から指導対象ではありません。また摂食時の咀嚼運動が手術部位に直接的な刺激を与えます。
b. 構音訓練
❌ 誤り。術後早期には開始できません。構音訓練には意図的な舌・唇の細かい運動と口腔内への音圧刺激が必須ですが、創傷治癒完成まで(一般に術後3~6か月)は禁忌です。
c. ラッパを吹く練習
✅ 正しい。口腔内への直接刺激を避けながら、呼気の制御と口腔内圧の生成を促進する理想的な準備的訓練です。口腔周囲筋群の機能回復につながります。
d. 頬を膨らませる練習
✅ 正しい。受動的に自然な笑顔や顔面運動を促進し、軟口蓋機能と側咽頭壁の活動を準備できます。創傷部位への直接的な負荷がなく、術後早期から実施可能です。
e. ホッツ床の装着
❌ 誤り。ホッツ床は術前(生後3~6か月)に装着する義床であり、術後の使用対象ではありません。口蓋形成術が行われた場合、ホッツ床の役割(歯槽突起間の裂隙閉鎖と上顎骨の前方牽引)は手術により達成されるため不要です。
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【試験対策ポイント】
| 時期 | 実施内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 術前(生後3~6か月) | ホッツ床装着 | 歯槽突起の対合、上顎骨の前方牽引 |
| 術直後(1日~1週間) | 何もしない(経過観察) | 創傷初期治癒段階 |
| 術後早期(1~4週間) | 呼気練習(ラッパ・頬膨らまし) | 創傷に負荷をかけない準備訓練 |
| 術後中期(1~3か月) | 口腔周囲筋運動・遊び訓練 | 軟組織の適応・機能回復 |
| 術後後期(3~6か月以降) | 構音訓練開始 | 創傷治癒完成後、音韻習得準備 |
【キーワード】
- 口蓋形成術のタイミング:1歳6か月(Wardill法の標準)
- ホッツ床:術前のみ
- 術後早期訓練の原則:「創傷を損傷しない」「準備的訓練のみ」
- 構音訓練開始:術後3~6か月以降