STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第19回 言語聴覚士国家試験 第185問

嚥下障害第19回
左反回神経麻痺による誤嚥と嗄声が持続している患者に誤嚥を軽減するための治療法はどれか。 a.息こらえ嚥下法 b.気管切開術 c.頭部挙上訓練 d.ブローイング訓練 e.甲状軟骨形成術I型 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — a,e 左反回神経麻痺では声帯が傍正中位に固定され、嚥下時の声帯閉鎖不全が生じ誤嚥が発生します。誤嚥軽減には声帯を正中に近づけるアプローチが必要です。息こらえ嚥下法(a)は声帯内転を強化し、甲状軟骨形成術I型(e)は声帯位置を正中に移動させるため、いずれも誤嚥軽減に有効です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 息こらえ嚥下法 ✅ 正しい。声帯を強く内転させることで、嚥下時の声帯閉鎖を強化し誤嚥を軽減します。反回神経麻痺に対する保存的治療法の基本です。 b. 気管切開術 ❌ 誤り。気管切開術は「気道保護」は可能ですが、声帯の位置異常そのものを改善しないため誤嚥の根本的軽減にはなりません。むしろ下気道への逆流防止であり、誤嚥の防止とは異なります。 c. 頭部挙上訓練 ❌ 誤り。頭部挙上訓練は咽頭がんや脳卒中後の嚥下障害に有効ですが、声帯閉鎖不全による誤嚥には対応していません。声帯位置の改善に直結しません。 d. ブローイング訓練 ❌ 誤り。ブローイング訓練は呼気筋力強化や声帯張力向上に寄与しますが、反回神経麻痺による声帯の傍正中位固定を直接改善できないため、誤嚥軽減の第一選択ではありません。 e. 甲状軟骨形成術I型 ✅ 正しい。甲状軟骨を前方に突出させることで声帯を正中に近づけ、声帯閉鎖を改善し誤嚥を軽減する手術的治療法です。持続する誤嚥に対する根本的対策となります。 --- 【試験対策ポイント】 反回神経麻痺と嚥下障害対策 | 治療法 | 作用機序 | 誤嚥軽減 | 備考 | |---|---|---|---| | 息こらえ嚥下法 | 声帯内転強化(保存的) | ✅ 有効 | 嚥下時の喉頭閉鎖UP | | 甲状軟骨形成術I型 | 声帯を正中移動(手術的) | ✅ 有効 | 根本的改善 | | 気管切開術 | 気道確保 | ✗ 誤嚥軽減にはならない | 誤嚥防止と異なる | | ブローイング訓練 | 呼気筋力強化 | △ 補助的 | 第一選択ではない | | 頭部挙上訓練 | 咽頭クリアランス向上 | ✗ 声帯異常に対応しない | 神経障害性嚥下障害には無効 | キーワード:左反回神経麻痺=声帯傍正中位固定→声帯閉鎖不全→誤嚥。対策は「声帯を正中に」 頻出誤りパターン:気管切開術を誤嚥防止と混同する受験生が多数。気管切開は下気道への流入を防ぐが、嚥下時の上気道での誤嚥そのものは軽減しない。
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