第19回 言語聴覚士国家試験 第189問
小児聴覚障害第19回
新生児聴覚スクリーニングについて正しいのはどれか。
- 1.BOAの原理に基づく検査を行う。
- 2.生後3か月までの確定診断が推奨される。 ✓
- 3.要精査(リファー)となった児のほとんどに難聴が診断される。
- 4.先天性難聴のリスクが高い児にのみ実施される。
- 5.ガスリー検査の一つとして行う。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 生後3か月までの確定診断が推奨される。
新生児聴覚スクリーニング(NBHS)は、生後数日以内に行われ、要精査(リファー)となった児に対して生後3か月までの確定診断を目標としています。これは「補聴器装用や手話習得開始時期を逃さない」ため、早期発見・早期療育が極めて重要だからです。WHO推奨では、すべての新生児を対象としたユニバーサル・スクリーニングであり、聴覚療育開始時期を考慮した厳密なタイムラインが設定されています。
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【各選択肢の解説】
1. BOAの原理に基づく検査を行う。
❌ 誤り。新生児聴覚スクリーニングではBOA(行動観察)は用いられません。新生児期の検査はOAE(耳音響放射)またはABR(聴性脳幹反応)が用いられます。BOAは生後6か月以降の幼児に対して段階的に実施される行動的検査法です。
2. 生後3か月までの確定診断が推奨される。
✅ 正しい。日本の新生児聴覚スクリーニング推奨体制では、生後3か月までの確定診断が目標です。言語発達の臨界期を考慮し、この時期に難聴が確認されれば生後6か月までに補聴器装用・療育開始となるタイムラインが設定されています。
3. 要精査(リファー)となった児のほとんどに難聴が診断される。
❌ 誤り。要精査(リファー)となった児の大多数は最終的に「正常聴力」と診断されます。新生児の中耳液貯留や測定技術上の問題で偽陽性率が高いため、リファー児のうち実際に難聴と診断されるのは約10~15%程度とされています。これは感度と特異度のバランスに基づく設計です。
4. 先天性難聴のリスクが高い児にのみ実施される。
❌ 誤り。新生児聴覚スクリーニングは「ユニバーサル・スクリーニング」であり、すべての新生児を対象としています。リスク児のみを対象とするのではなく、全新生児の約50~60%が先天性難聴リスク因子を持たないため、ユニバーサルスクリーニングが重要とされています。
5. ガスリー検査の一つとして行う。
❌ 誤り。新生児聴覚スクリーニングはガスリー検査とは独立した検査プログラムです。ガスリー検査は先天性代謝異常検査(PKU・甲状腺機能低下症など)であり、聴覚検査とは別体系で実施されます。
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【試験対策ポイント】
新生児聴覚スクリーニング(NBHS)の基本構図:
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 対象 | ユニバーサル(全新生児) |
| 実施時期 | 生後1~7日(退院前) |
| 検査方法 | OAE(自動スクリーニング)またはABR |
| リファー率 | 2~4% |
| リファー児の難聴確診率 | 10~15%程度(偽陽性が大部分) |
| 確定診断目標時期 | 生後3か月まで |
| 療育開始目標時期 | 生後6か月まで |
頻出の誤認識:
- BOAは「新生児」では不可能(6か月以降の発達段階で初めて可能)
- 「要精査=難聴確定」ではない(むしろ偽陽性が多い)
- ガスリー検査と混同しやすい(全く別の検査体系)