第19回 言語聴覚士国家試験 第191問
小児聴覚障害第19回
1歳の高度難聴児。前言語コミュニケーション指導として適切でないのはどれか。
- 1.情感の共有
- 2.音韻の識別 ✓
- 3.話者への注目
- 4.意思伝達の理解
- 5.相互性の理解
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 音韻の識別
1歳の高度難聴児の前言語コミュニケーション指導は、言語獲得以前の段階での親子相互作用やコミュニケーション基盤の構築に焦点を当てます。音韻の識別は音韻認識の段階であり、これは言語獲得後の学習課題であるため、前言語期には不適切です。
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【各選択肢の解説】
1. 情感の共有
✅ 正しい。前言語コミュニケーション指導の中核です。親子間で喜び・驚き・関心などの感情を共有することで、社会的相互作用の基盤が形成されます。これはコミュニケーション発達の最も初期段階です。
2. 音韻の識別
❌ 誤り。音韻の識別は音声言語の習得段階以降の学習課題であり、前言語期には発達段階として適切ではありません。1歳の段階では、音韻体系の獲得ではなく、「音に対する注目」「音の基本的な弁別」にとどまります。
3. 話者への注目
✅ 正しい。前言語コミュニケーション指導の重要要素です。親の顔・口形・身振りへの注目は、その後の言語理解・獲得の基盤となる視覚的情報処理能力を育成します。
4. 意思伝達の理解
✅ 正しい。相手の意思(指差し・身振り・表情)を理解することは、象徴的コミュニケーション獲得以前の重要な段階です。これは後の言語理解発達につながります。
5. 相互性の理解
✅ 正しい。ターンテイキング的な親子相互作用(一方が働きかけ、他方が応答する)の経験は、すべてのコミュニケーション発達の基盤をなします。前言語期の最重要課題です。
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【試験対策ポイント】
前言語期(0~12ヶ月)と言語初期(12~24ヶ月)の区別
| 段階 | 時期 | 主な指導課題 | 音韻識別は? |
|---|---|---|---|
| 前言語期 | 0~12ヶ月 | 情感共有・相互性・注目・意思理解 | ❌ 該当なし |
| 言語初期 | 12~24ヶ月 | 語彙拡大・初語・2語文 | △ 初歩的弁別のみ |
| 幼児期 | 2~5歳 | 音韻体系・音韻識別 | ✅ 本格的に指導 |
キーワード
- 前言語コミュニケーション=非象徴的相互作用が中心
- 音韻識別=象徴体系(言語)習得段階以降の課題
- 高度難聴児の発達促進には「感覚代替」(視覚情報の活用)と「社会的相互作用」が両輪