第19回 言語聴覚士国家試験 第194問
聴力検査第19回
正しいのはどれか。
- 1.聴性脳幹反応のV波は聴皮質由来である。
- 2.アブミ骨筋反射の遠心路は三叉神経である。
- 3.SISI10%は聴覚補充陽性である。
- 4.耳音響放射は他覚的に聴覚閾値を決定できる。
- 5.自記オージオメトリの検査音には連続音と断続音がある。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 自記オージオメトリの検査音には連続音と断続音がある。
自記オージオメトリ(Bekesy検査)は、受験者が被検者に指示を与えず音圧を自動変化させ、被検者が手動スイッチで「聞こえる/聞こえない」を判定する検査です。検査精度を高めるため、連続音と断続音の両方を用いて2回測定し、2つの記録パターン(連続音パターンと断続音パターン)を比較することで、器質的難聴の有無や心理的要因の影響を評価します。
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【各選択肢の解説】
1. 聴性脳幹反応のV波は聴皮質由来である。
❌ 誤り。聴性脳幹反応(ABR)のV波は橋の上部~中脳の下丘に由来する脳幹反応であり、聴皮質由来ではありません。ABRは聴皮質より下位の脳幹成分を反映しており、この点が長潜時成分(P300など)との大きな違いです。
2. アブミ骨筋反射の遠心路は三叉神経である。
❌ 誤り。アブミ骨筋反射の遠心路(求心路ではなく音響刺激を受けた側)は顔面神経(第VII脳神経)です。三叉神経(V)は関与しません。アブミ骨筋反射:求心路は聴神経(VIII)→脳幹核→遠心路は顔面神経(VII)という経路が標準です。
3. SISI10%は聴覚補充陽性である。
❌ 誤り。SISI(小増分感度指数)の解釈は逆です。SISI10%以下(陰性)は聴覚補充陰性を示唆し、中枢性難聴(後迷路性難聴)の可能性が高い。SISI50%以上(陽性)で聴覚補充陽性、つまり感音難聴(内耳性障害)を示唆します。
4. 耳音響放射は他覚的に聴覚閾値を決定できる。
❌ 誤り。耳音響放射(OAE)は外有毛細胞の機能を他覚的に評価できる検査ですが、「聴覚閾値を直接測定できない」という重大な制限があります。OAEが正常でも難聴が存在する場合があり(内毛細胞障害など)、逆にOAEが低下していても聴力が保たれる場合もあります。聴覚閾値決定には閾値検査(自記オージオメトリなど)が必要です。
5. 自記オージオメトリの検査音には連続音と断続音がある。
✅ 正しい。Bekesy法に基づいた自記オージオメトリは連続音と断続音の2種類の検査音を使用し、被検者の反応パターンの違いを比較することで、器質的難聴と機能性難聴(心因性難聴)の鑑別診断が可能です。
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【試験対策ポイント】
聴性脳幹反応(ABR)の波成分と由来部位
| 波 | 潜時(ms) | 由来部位 |
|---|---|---|
| I波 | 1.5 | 聴神経 |
| III波 | 3.5~4.0 | 橋下部核 |
| V波 | 5.5~6.0 | 橋上部~中脳下丘(脳幹) |
反射・神経経路の正確な理解
- アブミ骨筋反射:求心路は聴神経(VIII)→遠心路は顔面神経(VII)
- 三叉神経(V)は反射経路に含まれない
SISI検査の陽性・陰性基準
- SISI 50%以上(陽性)→聴