第19回 言語聴覚士国家試験 第196問
成人聴覚障害第19回
75歳男性。両耳聴力レベル60dB、最高語音明瞭度60%の加齢性難聴者。初診時の適切な対応はどれか。
a.手話通訳を手配する。
b.筆談用具を用意する。
c.補聴手段を用意する。
d.人工内耳を勧める。
e.身体障害者手帳の取得を勧める。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
75歳の加齢性難聴者で聴力レベル60dB、語音明瞭度60%という段階では、まず補聴手段(補聴器)を用いたコミュニケーション支援と、筆談による補助手段を組み合わせることが初診時の標準的対応です。この段階ではまだ補聴器の適応段階であり、より侵襲的な手段を先行させるべきではありません。
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【各選択肢の解説】
a. 手話通訳を手配する。
❌ 誤り。手話は言語としての習得に時間を要し、成人後の加齢性難聴者にとって習得は困難です。初診時から手配する必要性は低く、より簡便な筆談を優先します。
b. 筆談用具を用意する。
✅ 正しい。筆談は即座に導入できる低侵襲的なコミュニケーション支援手段であり、初診時から聴覚障害者との情報交換を確実にするために用意すべきです。
c. 補聴手段を用いる。
✅ 正しい。聴力レベル60dBで語音明瞭度60%は補聴器の適応段階です。初診時には補聴器の処方・選定・装用指導が標準的管理であり、加齢性難聴では最優先の対応となります。
d. 人工内耳を勧める。
❌ 誤り。人工内耳の適応基準は一般的に聴力レベル90dB以上(両耳平均)で、補聴器装用でも日常生活に支障がある場合に限定されます。聴力60dBの段階では時期尚早です。
e. 身体障害者手帳の取得を勧める。
❌ 誤り。身体障害者手帳の対象となる聴覚障害の基準は、聴力レベル70dB以上(両耳平均)が目安です。60dBはこれに達していないため、初診時から勧める根拠がありません。
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【試験対策ポイント】
聴覚リハビリテーションの段階的アプローチ
| 聴力レベル | 段階 | 初診時対応 |
|---|---|---|
| 40~60dB | 軽度~中等度難聴 | 補聴器選定・筆談補助 |
| 60~80dB | 中等度~高度難聴 | 補聴器+筆談・リップリーディング |
| 80~90dB | 高度難聴 | 補聴器適応困難の検討 |
| 90dB以上 | 高度~最高度難聴 | 人工内耳の検討開始 |
加齢性難聴者の特徴:
- 補聴器適応率が高い
- 手話習得意欲が低い
- 身体障害者手帳対象外の場合が多い
身体障害者手帳聴覚障害基準:
- 両耳聴力レベル70dB以上(AB形)
- 一側70dB以上+他側40dB以上(C形)
人工内耳適応基準の厳密性:
- 両耳聴力90dB以上が基本
- 補聴器装用最大出力にて効果不十分
- 言語理解能力が保持されていること