STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第19回 言語聴覚士国家試験 第199問

補聴器・人工内耳第19回
補聴器適合の評価で適切でないのはどれか。
  1. 1.雑音下で語音明瞭度が保たれている。
  2. 2.補聴器の効果に装用者の納得が得られている。
  3. 3.補聴器装用時の語音明瞭度が70%を超えている。 ✓
  4. 4.補聴器装用下の騒音は心理的許容レベル以下である。
  5. 5.入力音90dBSPL時の出力レベルが不快レベル以下である。

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 補聴器装用時の語音明瞭度が70%を超えている。 補聴器適合の評価では「語音明瞭度70%超」という固定値が指標ではなく、個々の患者の残存聴力、年齢、適応能力に応じた個別的評価が重要です。特に高度難聴・最重度難聴では70%達成が困難な場合が多く、より低い目標値でも適切に適合できている場合があります。すなわち、語音明瞭度は「患者個人にとって最適か」という相対的評価が本質であり、絶対値70%以上が必須条件ではありません。 --- 【各選択肢の解説】 1. 雑音下で語音明瞭度が保たれている。 ✅ 正しい。補聴器には雑音抑制機能が搭載されており、日常生活で最も必要とされるのが「雑音環境での聴覚活用」です。静寂環境ではなく、実生活に近い雑音下での語音明瞭度維持が適合評価の重要指標になります。 2. 補聴器の効果に装用者の納得が得られている。 ✅ 正しい。客観的な聴覚検査数値がどれだけ改善していても、患者自身が「生活が改善した」「聴こえが自然」と感じることが適合成功の最重要条件です。患者満足度は適合評価の中核をなします。 3. 補聴器装用時の語音明瞭度が70%を超えている。 ❌ 誤り。70%以上という固定値は汎用的な指標ではなく、高度~最重度難聴患者では達成が困難なことが多いため、個別的評価が求められます。むしろ「患者の残存聴力から期待される最大値に対してどの程度改善したか」という相対評価が適切です。 4. 補聴器装用下の騒音は心理的許容レベル以下である。 ✅ 正しい。騒音が心理的に許容できる範囲内であることは、装用継続性を大きく左右します。不快な騒音が生じれば装用放棄につながるため、許容レベルの管理は適合評価の重要項目です。 5. 入力音90dBSPL時の出力レベルが不快レベル以下である。 ✅ 正しい。補聴器の過大出力は難聴者の残存聴覚に障害を与えるリスクがあり、また不快感から装用放棄につながります。入力90dBSPLは強大音の典型的な検査条件であり、出力が不快レベル(UCL)以下に収まることは安全性と利用可能性を保証する必須条件です。 --- 【試験対策ポイント】 補聴器適合評価の3本柱と否定知識: | 評価項目 | 評価内容 | ○正しい評価 | ✗誤った評価 | |---|---|---|---| | 聴覚学的評価 | 語音明瞭度の改善 | 個別的相対評価(患者ごとの最大値に対する改善率) | 「70%以上」という固定絶対値 | | 心理的評価 | 患者満足度 | 「聴こえが自然」「生活改善を感じている」の納得 | 数値のみで判断 | | 安全性評価 | 出力音圧の管理 | 入力90dBSPL時の出力がUCL以下 | 過大出力による残存聴覚障害 | | 実環境評価 | 雑音適応 | 雑音下での明瞭度維持・騒音の心理的許容性 | 静寂環境での性能のみ評価 | キーワード:「個別的評価」「相対評価」「患者満足度」「実生活適応」
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