第19回 言語聴覚士国家試験 第41問
音響学第19回
狭帯域サウンドスペクトログラムでの観察が適しているのはどれか。
- 1.母音のホルマント(フォルマント)
- 2.音節長
- 3.摩擦性
- 4.発話速度
- 5.イントネーション ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — イントネーション
狭帯域スペクトログラムは周波数解像度が高く(周波数軸の分析が詳細)、基本周波数(F0)と倍音の微細な変化を時間軸に沿って観察するのに適しています。イントネーション(音の高さの変動)はF0の時間的変化そのものであり、狭帯域スペクトログラムの周期構造(ハーモニック構造)の疎密で明確に視認できます。
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【各選択肢の解説】
1. 母音のホルマント(フォルマント)
❌ 誤り。ホルマントは周波数スペクトルにおける共鳴周波数で、周波数解像度が低い方が明確に観察できます。広帯域スペクトログラムの方が、ホルマント帯域幅が視覚的に区別しやすくなります。
2. 音節長
❌ 誤り。音節長の観察には時間解像度が必要です。狭帯域スペクトログラムは時間解像度が低く(時間軸の分析が粗い)、音節の開始・終了時刻の判定が曖昧になります。広帯域の方が時間分解能に優れます。
3. 摩擦性
❌ 誤り。摩擦音の特性(白色雑音的なブロードバンド成分)を観察するには、周波数軸の分解能より、時間軸の敏感さが求められます。広帯域スペクトログラムの方が摩擦性を視覚化しやすいです。
4. 発話速度
❌ 誤り。発話速度の測定には正確な時間分析が必要(1秒間の音節数など)であり、狭帯域スペクトログラムの低い時間解像度では判定困難です。広帯域で時間軸を正確に把握する方が効果的です。
5. イントネーション
✅ 正しい。基本周波数(F0)の時間的変化はイントネーションを定義します。狭帯域スペクトログラムでは、F0と倍音の周期構造が時間軸に沿って明瞭に表現され、声調曲線(ピッチ変動)が周波数軸に現れるハーモニック群の密度変化として容易に読み取れます。
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【試験対策ポイント】
| スペクトログラム比較 | 狭帯域(NBP) | 広帯域(WBP) |
|---|---|---|
| 時間解像度 | 低い(時間軸ぼやける) | 高い(時間軸シャープ) |
| 周波数解像度 | 高い(周波数軸詳細) | 低い(周波数軸ぼやける) |
| ハーモニック見える度 | 明確(倍音構造が視認) | 薄い |
| 観察に適した項目 | F0・イントネーション | フォルマント・音節長・摩擦性 |
**狭帯域で見えるもの**
- F0の周期的変動 → イントネーション(音の高さの変動)
- 倍音群の周波数間隔 → ビブラート
**広帯域で見えるもの**
- ホルマント周波数(暗い帯状構造)
- 音節の境界(時間軸での急激な変化)
- 摩擦性雑音(幅広い周波数のざらざらした領域)
**出題の本質**
狭帯域は「周波数軸に強い」→ F0関連の観察に最適
広帯域は「時間軸に強い」→ 時間的な音韻特性に最適