第19回 言語聴覚士国家試験 第47問
言語発達学第19回
Piaget.J.が象徴機能の発現とした行動はどれか。
- 1.クレヨンでなぐり書きをする。
- 2.おもちゃの太鼓をバチで叩く。
- 3.布で隠したおもちゃを取り出す。
- 4.昨日見た友だちの動作を再現する。 ✓
- 5.いつもの帽子をかぶると外出することがわかる。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 昨日見た友だちの動作を再現する。
象徴機能(symbolic function)とは、実際に目の前にない対象や事象を、心の中で象徴(シンボル)で表現・操作できる能力です。Piagetは感覚運動期の終わり(生後18~24ヶ月)にこの能力が芽生えると述べています。4番は「実際に見ている友だちではなく、『昨日見た』友だちの動作を『再現する』」という、遅延模倣(delayed imitation)に該当し、心の中で友だちの動作をシンボル化して保持し、後で表現しています。これが象徴機能の典型例です。
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【各選択肢の解説】
1. クレヨンでなぐり書きをする。
❌ 誤り。これは反射的な運動行動であり、目的性がありません。感覚運動期初期(0~4ヶ月)の原始反射段階の活動です。象徴機能とは無関係な身体的探索行動です。
2. おもちゃの太鼓をバチで叩く。
❌ 誤り。これは手段と目的を結びつける因果関係の理解(目的的行動)ですが、象徴的表現ではなく具体的な運動行為です。感覚運動期後期(12~18ヶ月)の目的的操作に相当します。
3. 布で隠したおもちゃを取り出す。
❌ 誤り。これは対象永続性(object permanence)の獲得を示す行動で、感覚運動期後期(8~12ヶ月)の発達段階です。象徴機能ではなく、目の前にない対象の認識に過ぎません。
4. 昨日見た友だちの動作を再現する。
✅ 正しい。遅延模倣(過去に知覚した行動を後で再現する)は、その行動を心の中でシンボル化して保持していることを示します。象徴機能の代表的な指標です。
5. いつもの帽子をかぶると外出することがわかる。
❌ 誤り。これは連合学習(古典的条件づけ)による因果関係の理解です。刺激(帽子)と行動(外出)の結びつきであり、象徴的表現ではなく具体的な経験に基づく予測に過ぎません。
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【試験対策ポイント】
象徴機能と間違いやすい概念の区別:
| 概念 | 時期 | 特徴 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 対象永続性 | 8~12ヶ月 | 目の前から消えた物の存在を認識 | 隠したおもちゃを取り出す |
| 目的的行動 | 12~18ヶ月 | 手段と目的の結びつき(因果関係) | バチで太鼓を叩く |
| 象徴機能 | 18~24ヶ月 | 実際にない対象を心で表現できる | 遅延模倣・ごっこ遊び |
象徴機能の主要な表現形態:
- 遅延模倣(過去の行動を後で真似する)
- ごっこ遊び(ままごと、見立て遊び)
- 言語(音声が対象を象徴)
- 心的イメージ
試験での見分けるポイント:「時間的ずれがあるか」「実在しない対象・状況を扱っているか」を確認。4番は「昨日」という時間的ずれと「見た動作を再現する」という心的表現が両方含まれているため、最も象徴機能を示しています。