STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第19回 言語聴覚士国家試験 第55問

失語症第19回
典型的ブローカ失語の病巣に含まれるのはどれか。 a.上前頭回 b.下前頭回 c.中心前回 d.縁上回 e.角回 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — b,c 典型的ブローカ失語の病巣は「下前頭回(Brodmann 44・45野)」と「中心前回(一次運動野)」を含みます。ブローカ失語は優位半球(通常左側)の下前頭葉から中心前回領域の損傷によって生じ、流暢性低下と努力的発話が特徴です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 上前頭回 ❌ 誤り。上前頭回(Brodmann 8野など)の損傷は補足運動野失語や注意障害を引き起こす可能性がありますが、典型的ブローカ失語の中核病巣ではありません。上前頭回は認知・実行機能に関わります。 b. 下前頭回 ✅ 正しい。ブローカ領野(Brodmann 44・45野)を含む下前頭回は、運動性言語の中枢です。この領域の損傷により、非流暢性・努力的発話・文法形態素欠落(agrammatism)が生じます。 c. 中心前回 ✅ 正しい。中心前回(一次運動野)は構音に関わる口顔面領域を支配しており、ブローカ失語の病巣に含まれることが多いです。この領域の損傷は発話の努力性と嗄声化をもたらします。 d. 縁上回 ❌ 誤り。縁上回(Brodmann 40野)は角回とともに後言語野に位置し、損傷すると伝導失語(復唱特異的障害)を引き起こします。ブローカ失語の主病巣ではありません。 e. 角回 ❌ 誤り。角回(Brodmann 39野)の損傷は、読字・書字障害や視覚的言語処理障害をもたらします。後言語野の重要な領域ですが、典型的ブローカ失語の中核病巣ではありません。 --- 【試験対策ポイント】 ブローカ失語の病巣と機能的局在: | 領域 | Brodmann野 | ブローカ失語における役割 | 損傷時の主症状 | |---|---|---|---| | 下前頭回 | 44・45 | ブローカ領野(中核) | 非流暢・努力的発話・文法形態素欠落 | | 中心前回 | 4 | 口顔面運動野 | 構音困難・嗄声化 | | 上前頭回 | 8・9・10 | 補足運動野・認知領域 | 注意障害・実行機能障害 | | 縁上回 | 40 | 後言語野 | 伝導失語(復唱障害特異的) | | 角回 | 39 | 読字・視覚言語処理 | 読字障害・視覚処理障害 | ブローカ失語の3つの特徴(必ず復習): - 流暢性:低下(非流暢) - 理解力:比較的良好(日常的指示は理解) - 復唱:不良(重症例では著しく障害) 古典的ブローカ領野は下前頭回に限定されますが、臨床的ブローカ失語は周辺領域(中心前回・島皮質など)を含むことがあります。本問は「典型的」と限定しているため、最も確実な答えはb,cです。
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