第19回 言語聴覚士国家試験 第57問
失語症第19回
書き取りが良好であるのに書称が困難な場合、考えられる原因はどれか。
- 1.聴覚的理解障害
- 2.構成障害
- 3.文字-音韻変換障害
- 4.音韻-文字変換障害
- 5.語想起障害 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 語想起障害
書き取りが良好であるということは、「聞いた音を正しく文字に変換する能力(音韻-文字変換)」が保持されていることを意味します。一方、書称(書いて名前をつける)が困難というのは、物や概念の名前を思い出せない状態です。これは語想起の問題であり、入力経路(聴覚的理解)や変換過程ではなく、「言葉そのものへのアクセス困難」を示しています。
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【各選択肢の解説】
1. 聴覚的理解障害
❌ 誤り。聴覚的理解障害があれば、書き取り時に聞いた内容を正しく理解できないため、書き取り自体が不良となるはずです。書き取りが良好という事実と矛盾します。
2. 構成障害
❌ 誤り。構成障害は空間認識や図形の複雑性に関わる障害で、文字の形態や配置に影響します。書き取り・書称の両者に同等の影響を及ぼすため、一方だけが良好で他方が困難という選別的障害パターンは説明できません。
3. 文字-音韻変換障害
❌ 誤り。これは黙読時に文字を音に変換できない障害です。本問は「書く」能力を問うており、読む過程は関与しません。
4. 音韻-文字変換障害
❌ 誤り。音韻-文字変換障害があれば、聞いた音を文字に変換できないため書き取りが困難になります。しかし設問では「書き取りが良好」と明記されているため、この変換過程は保持されています。
5. 語想起障害
✅ 正しい。書き取りが良好=外部からの音入力に対する変換能力は健全。書称が困難=対象を見ても、あるいはその概念から、その名前を自発的に思い出せない状態。これは語彙へのアクセス経路の問題であり、入力形態(聴覚 vs 視覚)に依存しない固有の語想起困難を示します。
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【試験対策ポイント】
書き取り vs 書称の障害パターン
| 障害の部位 | 書き取り | 書称 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 聴覚的理解 | ✗ | ✗ | 入力段階の障害→両者とも困難 |
| 音韻-文字変換 | ✗ | ✓ | 「聞く→書く」経路が断絶 |
| 語想起 | ✓ | ✗ | 「名前を思い出す」能力が低下 |
| 文字-音韻変換 | ✓ | ✓ | 読む過程の障害→書く過程には無関係 |
キーワード:「良好+困難=選別的障害」→ 入力経路ではなく、「自発的アクセス」の問題を疑う
選別的困難パターンの判別法:
- 書き取り良好=聴覚処理と音→文字変換は正常
- 書称困難=視覚刺激からの名前想起が悪い
- 結論:「刺激の有無による実行機能の差」=語想起障害の特徴