STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第19回 言語聴覚士国家試験 第60問

失語症第19回
失語症会話パートナーの役割でないのはどれか。
  1. 1.失語のある人同士の会話を橋渡しする。
  2. 2.緊急時の警報などを失語のある人に伝達する。
  3. 3.地域社会において失語についての理解を促進する。
  4. 4.周囲の人からの情報をわかりやすく失語のある人に伝達する。
  5. 5.呼称訓練を実施する。 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 呼称訓練を実施する。 失語症会話パートナーは、失語のある人の社会参加と生活の質向上を支援する地域での支援者です。会話パートナーの役割は「コミュニケーション支援」と「社会参加の促進」であり、言語機能の直接的な回復を目指す「訓練」は実施しません。呼称訓練は言語聴覚士による治療的介入であり、会話パートナーの職務範囲外です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 失語のある人同士の会話を橋渡しする。 ✅ 正しい。会話パートナーの中核的な役割です。複数の失語者の間で、身振りや図、ゆっくりした話速などを用いてコミュニケーションを仲介し、相互理解を助けます。 2. 緊急時の警報などを失語のある人に伝達する。 ✅ 正しい。地域での実生活場面において、火事警報や防災情報など重要な伝達事項を分かりやすく確実に失語のある人に伝えることも、会話パートナーの重要な役割です。 3. 地域社会において失語についての理解を促進する。 ✅ 正しい。地域の町内会や学校、職場などで失語症に対する理解啓発活動を行い、失語のある人の社会参加を促進することは会話パートナーの重要な役割です。 4. 周囲の人からの情報をわかりやすく失語のある人に伝達する。 ✅ 正しい。日常会話や周囲からの情報伝達を支援し、複雑な説明を単語の繰り返しや視覚的支援を用いてシンプルに伝え直すことは、会話パートナーの基本的な役割です。 5. 呼称訓練を実施する。 ❌ 誤り。呼称訓練(物の名前を言う練習)は、言語機能の回復を目指す「治療的介入」であり、言語聴覚士による専門的訓練に該当します。会話パートナーは治療者ではなく、日常生活場面でのコミュニケーション支援者として位置付けられます。 --- 【試験対策ポイント】 失語症会話パートナーの役割(支援の3層構造) | 役割の観点 | 具体例 | |---|---| | コミュニケーション支援 | 会話の橋渡し、複雑な情報をわかりやすく伝達 | | 社会参加の促進 | 地域行事への参加を助言、地域への啓発活動 | | 安全確保 | 緊急情報の伝達、外出時の伴走 | | 訓練実施 | ❌ 含まれない(STの職務) | キーワード: - 会話パートナー=治療者ではなく「支援者」 - 専門的訓練(呼称訓練、文法訓練など)はST業務 - 生活場面でのコミュニケーション最適化が主任務 - 地域資源としての役割強調(啓発・橋渡し) 紛らわしい点: 会話パートナーが「コミュニケーション支援」を行うからといって、「訓練」を実施するわけではありません。支援は環境調整・伝達工夫であり、訓練は言語能力の段階的向上を狙った専門的介入です。
関連

▶ 第19回 全問一覧

▶ 失語症 の過去問一覧