第19回 言語聴覚士国家試験 第62問
高次脳機能障害第19回
誤っているのはどれか。
- 1.統覚型視覚失認では模写に時間がかかる。
- 2.視覚性失語では物品のカテゴリー分類が困難である。 ✓
- 3.皮質盲における盲の否認をアントン症状という。
- 4.複雑幻視の原因の1つにてんかんがある。
- 5.相貌失認の病巣は紡錐回状を含む。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 視覚性失語では物品のカテゴリー分類が困難である。
視覚性失語(視覚性言語障害)は、文字や単語の形態認識に特異的な障害であり、物の意味理解には支障がないため、**物品のカテゴリー分類は可能**です。一方、統覚型視覚失認では、視覚情報の統合に障害があり、認識に時間を要するため「分類困難」となります。この両者の区別が受験生が混同しやすい点です。
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【各選択肢の解説】
1. 統覚型視覚失認では模写に時間がかかる。
✅ 正しい。統覚型視覚失認は視覚情報の統合障害により、対象を構成要素として知覚することはできても、全体像の統合に時間を要するため、模写に時間がかかります。
2. 視覚性失語では物品のカテゴリー分類が困難である。
❌ 誤り。視覚性失語は文字や単語の視覚的形態認識の障害であり、意味理解は保たれているため、物品のカテゴリー分類は可能です。困難なのは「失認」ではなく、あくまで言語記号認識です。
3. 皮質盲における盲の否認をアントン症状という。
✅ 正しい。皮質盲患者が自身の視覚障害を否認し、見えていないのに「見えている」と主張する現象がアントン症状(Anton symptom)です。両側後頭葉皮質損傷で発生します。
4. 複雑幻視の原因の1つにてんかんがある。
✅ 正しい。複雑幻視(形のある幻視:人物・動物・文字など)は、側頭葉てんかんや後頭葉てんかんなどの発作時に出現することが知られています。
5. 相貌失認の病巣は紡錐回状を含む。
✅ 正しい。相貌失認(顔の認識特異的障害)の病巣は、両側下側頭皮質、特に**紡錐回(fusiform gyrus)**および隣接する舌状回に局在することが報告されています。
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【試験対策ポイント】
視覚失認 vs 視覚性失語の区別表:
| 概念 | 障害部位 | 障害される機能 | 模写 | 物の理解・カテゴリー分類 |
|---|---|---|---|---|
| **感覚型視覚失認** | 一次視覚皮質 | 知覚(視野欠損) | 不良 | 不良(知覚障害のため) |
| **統覚型視覚失認** | 下側頭皮質 | 視覚統合 | 時間かかる | 困難(統合不全) |
| **連合型視覚失認** | 下側頭皮質 | 意味記憶アクセス | 良好 | 困難(記憶アクセス障害) |
| **視覚性失語** | 角回周辺 | 言語記号認識 | 良好 | 良好(意味理解保持) |
相貌失認の局在:
- 紡錐回(FFA:Fusiform Face Area)
- 舌状回
- 下側頭皮質全般
皮質盲の否認現象:
- アントン症状=盲の否認(「見えている」と主張)
- 両側後頭葉皮質損傷
- 他の感覚ルート(聴覚など)で補完しようとする
てんかん性幻視の種類:
- 単純幻視:光や色の幻視(後頭葉起始)
- 複雑幻視:人物・動物・文字など意味のある幻視(側頭葉起始が典型)