第19回 言語聴覚士国家試験 第72問
言語発達障害学第19回
構文指導で誤っているのはどれか。
a.理解語彙が30語を超えたら語連鎖学習に進む。
b.可逆文、非可逆文の順に指導する。
c.2~3語文期は助詞の誤用は許容する。
d.動詞語彙を拡大する。
e.実物やミニチュアを操作して文の意味を示す。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — a,b
構文指導における実施順序と理解の深さに関する知識が問われています。aは開始時期の基準が誤り、bは指導順序が逆であることが誤りです。構文指導は発達段階と理解レベルに応じた段階的アプローチが重要です。
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【各選択肢の解説】
a. 理解語彙が30語を超えたら語連鎖学習に進む。
❌ 誤り。語連鎖学習の開始基準は「理解語彙50語以上」とされています。30語では早すぎます。理解語彙の蓄積が不十分な段階での語連鎖学習は、文法的基礎を欠いた学習につながるため、より高い閾値が設定されています。
b. 可逆文、非可逆文の順に指導する。
❌ 誤り。指導順序は「非可逆文→可逆文」が正しいです。非可逆文(例:「お母さんが赤ちゃんを抱いている」)は意味的制約から正しい順序が推測しやすく、理解しやすいため先に指導します。可逆文は両方向の解釈が可能(「太郎が次郎を追いかけている」と「次郎が太郎を追いかけている」)で、構文的理解が必須なため、後で指導します。
c. 2~3語文期は助詞の誤用は許容する。
✅ 正しい。発達の初期段階である2~3語文期は、助詞(「を」「に」「が」など)の誤用は発達過程として許容されます。正確な助詞使用は後期に獲得される文法要素です。
d. 動詞語彙を拡大する。
✅ 正しい。構文指導において動詞語彙の拡大は重要な指導内容です。動詞は文構造の中核となり、異なる構文パターンの学習に必要不可欠です。
e. 実物やミニチュアを操作して文の意味を示す。
✅ 正しい。実物やミニチュアの操作を通じた視覚的・具体的理解は、構文指導の基本的かつ有効な方法です。抽象的な文法規則よりも、実際の行動との結びつけが初期段階では重要です。
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【試験対策ポイント】
構文指導の段階的プロセス:
| 段階 | 条件・内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 前構文期 | 理解語彙50語未満 | 語連鎖学習は行わない |
| 語連鎖学習 | 理解語彙50語以上 | 2語文への準備段階 |
| 2~3語文期 | 文法形式の初期獲得 | 助詞誤用は許容 |
| 複文期以降 | 複雑な構文の習得 | より細緻な文法指導 |
非可逆文vs可逆文の指導順序:
- 非可逆文(先):意味的制約→「お母さんが子どもを抱く」は順序が一通り
- 可逆文(後):構文理解が必須→「兄が弟を押す」と「弟が兄を押す」は逆にも成立
構文指導の具体的手法:
- 実物・ミニチュア操作による具体的意味表示
- 動詞語彙の意図的な拡大(同一の構文で異なる動詞を試す)
- 段階的な複雑性の増加