第19回 言語聴覚士国家試験 第73問
言語発達障害学第19回
2語連鎖の表出が見られ始めた5歳の知的障害児。言語指導として適切なのはどれか。
a.理解語彙の種類を増やす。
b.2枚の絵カードを示して発話を促す。
c.同年齢の子供が好む絵本を読み聞かせる。
d.助詞を含む2語文を復唱させる。
e.遊びをとして「対象+動作」、「動作主+動作」などの体験を増やす。
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,b,e
5歳で2語連鎖が見られ始めた知的障害児は、言語発達が大きく遅滞しています。この段階の指導では、理解語彙の拡大、視覚的刺激による発話促進、そして具体的な遊びを通じた文法構造の体験が効果的です。選択肢a・b・eはいずれも発達段階に即した適切なアプローチであり、cとdは段階を無視した不適切な指導です。
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【各選択肢の解説】
a. 理解語彙の種類を増やす。
✅ 正しい。表出語彙の伸びには理解語彙の拡大が前提となります。2語連鎖の段階では、まず「物の名前」「動作語」など意味カテゴリーを広げることで、文構造を支える基礎が形成されます。
b. 2枚の絵カードを示して発話を促す。
✅ 正しい。視覚的支援(具体的な絵カード)は、知的障害児が意味を理解し発話を組み立てるうえで有効です。「ママ、ワンワン」など2語文の産出を直接促進します。
c. 同年齢の子供が好む絵本を読み聞かせる。
❌ 誤り。本児は言語発達が5年遅滞しており、同年齢の複雑な内容・語彙の絵本は理解不可能です。発達段階に合わせた簡潔で視覚的な教材(1語~2語対応)を使用すべきです。
d. 助詞を含む2語文を復唱させる。
❌ 誤り。「助詞」は2語連鎖の段階ではまだ習得されていない概念です。知的障害児が助詞を含む「公式的な」文型を「復唱」させるのは段階を逸脱しており、意味理解を伴わない機械的練習に陥ります。
e. 遊びを通して「対象+動作」「動作主+動作」などの体験を増やす。
✅ 正しい。具体的な遊びの中で、物と動作の関係(「ワンワン、走る」)や人と動作の関係(「ママ、食べる」)を体験させることで、2語文の基本的な意味構造が自然に習得されます。知的障害児には特に具体的・多感覚的な学習環境が有効です。
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【試験対策ポイント】
言語発達障害児への指導段階と留意点:
| 発達段階 | 本児の状態 | 適切な指導 | 不適切な指導 |
|---|---|---|---|
| 1語発話 | 見られ始め | 物の名前、動作語の理解拡大 | 文法(助詞など) |
| 2語連鎖(本児) | 見られ始め | 視覚支援による発話促進、具体的遊び | 助詞込みの復唱、複雑な文献 |
| 2語文以上 | 未達成 | 文法要素の導入 | (本児にはまだ早期) |
重要:「知的障害児」指導の鉄則
- 発達段階に即した「スモールステップ」
- 抽象的・言語的指導より「具体的・体験的」指導
- 同年齢基準ではなく「発達年齢」に合わせる
- 理解→表出の順序(理解先行)
紛らわしい選択肢の区別:
- c(絵本読み聞かせ):通常発達児なら有効だが、本児には難しすぎる
- d(復唱練習):技能習得に見えるが、意味理解を伴わない機械学習。特に助詞は2語連鎖段階では認知負荷が大きい