STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第19回 言語聴覚士国家試験 第75問

呼吸系第19回
正常な声が作られるための条件として適切でないのはどれか。
  1. 1.声帯の層構造
  2. 2.声帯粘膜の硬化 ✓
  3. 3.声帯粘膜の湿潤
  4. 4.声帯粘膜の粘膜波動
  5. 5.声帯の左右対称性

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 声帯粘膜の硬化 正常な声帯振動と音声産生には、声帯粘膜の柔軟性と弾力性が不可欠です。硬化は粘膜波動を阻害し、声質を低下させるため、正常な声作成条件として適切ではありません。 --- 【各選択肢の解説】 1. 声帯の層構造 ✅ 正しい。声帯は表層から粘膜上皮層→浅層層→中間層→深層の多層構造を持ち、この層構造があることで異なる粘弾性が生まれ、効率的な粘膜波動と音声産生が可能になります。層構造がないと音質は著しく低下します。 2. 声帯粘膜の硬化 ❌ 誤り。声帯粘膜が硬化すると、柔軟な粘膜波動が阻害され、声帯の振動効率が低下します。加齢や瘢痕化によって粘膜が硬化すると、嗄声や音質低下を招きます。したがって正常な声産生には「柔軟性」が必要で、硬化は阻害因子です。 3. 声帯粘膜の湿潤 ✅ 正しい。声帯粘膜の適切な潤いは、声帯の粘弾性を保ち、閉鎖性を向上させ、振動効率を高めます。乾燥すると声帯の振動が制限され、嗄声や疲労感につながります。 4. 声帯粘膜の粘膜波動 ✅ 正しい。粘膜波動(mucosal wave)は声帯粘膜が呼気流によって下から上へと波状に動く現象で、効率的な音声産生に最も重要な機構です。粘膜波動がないと音声産生は著しく障害されます。 5. 声帯の左右対称性 ✅ 正しい。左右の声帯が対称的であることで、閉鎖性と開閉のタイミングが整い、基本周波数が安定し、バランスの取れた声質が得られます。非対称性は声の揺らぎや音質低下につながります。 --- 【試験対策ポイント】 正常な音声産生の必須条件 | 条件 | 役割 | 欠けた場合 | |---|---|---| | 層構造 | 粘弾性を生成し粘膜波動を可能に | 硬い声・音質低下 | | 粘膜湿潤 | 閉鎖性向上・振動効率向上 | 乾燥性嗄声・疲労 | | 粘膜波動 | 効率的なエネルギー変換 | 声帯麻痺に類似した症状 | | 左右対称性 | 周波数安定・閉鎖性確保 | 声の揺らぎ・不規則振動 | | 柔軟性 | 上記すべての基盤 | 硬化による機能低下 | 硬化は加齢・喫煙・反復使用・瘢痕化で起こり、医学的には「好ましくない」状態です。本問は「適切でないもの」を選ぶ問題なので、明確に除外できる選択肢として機能します。
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