第19回 言語聴覚士国家試験 第79問
器質性構音障害第19回
高度の両側鼻閉がある時もっとも障害される語はどれか。
- 1.カッパ
- 2.サイフ
- 3.タカラ
- 4.ラクゴ
- 5.ナミダ ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — ナミダ
高度の両側鼻閉では、鼻音(/n/と/m/)が鼻腔を通して共鳴できなくなり、代わりに口腔内で破裂音化する「鼻音化不全」が最も顕著に障害されます。「ナミダ」は語頭に鼻音/n/を含むため、最も著しく影響を受けます。
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【各選択肢の解説】
1. カッパ
❌ 誤り。/k/と/a/は共に鼻音ではなく、鼻閉による影響を受けません。鼻音を含まないため、両側鼻閉下でも明瞭性は保たれます。
2. サイフ
❌ 誤り。/s/(歯茎摩擦音)と/a/、/u/で構成され、鼻音を含みません。摩擦音は鼻腔共鳴に依存しないため、鼻閉の影響は軽微です。
3. タカラ
❌ 誤り。/t/(歯茎破裂音)と/a/、/r/(側面音)で構成されており、鼻音がありません。鼻腔共鳴が必要な音素を含まないため、障害度は低いです。
4. ラクゴ
❌ 誤り。/r/は側面音、/k/は軟口蓋破裂音で、共に鼻音ではありません。語全体に鼻音が存在しないため、両側鼻閉の影響を受けません。
5. ナミダ
✅ 正しい。語頭の/n/(歯茎鼻音)が最初に出現するため、最初の音が「ナ」→「ダ」のように口腔内で破裂化します。その後の/m/(両唇鼻音)も障害されるため、「ナミダ」全体が最も著しく明瞭性を低下させます。
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【試験対策ポイント】
鼻閉による構音障害の特徴:
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| **障害される音** | 鼻音:/n/(歯茎)、/m/(両唇)、/ng/(軟口蓋)のみ |
| **代償音** | 鼻音が口腔内で破裂音化:/n/→/d/、/m/→/b/ |
| **現象** | 「ナミダ」→「ダミダ」など、鼻音の語頭出現が最大障害 |
| **他音への影響** | 破裂音・摩擦音・側面音は鼻閉の影響なし |
| **程度** | 高度な両側鼻閉ほど顕著 |
各選択肢の鼻音の有無:
| 選択肢 | 音韻構成 | 鼻音の有無 | 障害度 |
|---|---|---|---|
| カッパ | /k/-/a/-/p/-/a/ | なし | 低 |
| サイフ | /s/-/a/-/i/-/f/-/u/ | なし | 低 |
| タカラ | /t/-/a/-/k/-/a/-/r/-/a/ | なし | 低 |
| ラクゴ | /r/-/a/-/k/-/u/-/g/-/o/ | なし | 低 |
| ナミダ | /n/-/a/-/m/-/i/-/d/-/a/ | あり(/n/、/m/) | **最高** |
鼻音化不全による聴覚的特徴:「鼻がつまった話し方」で、鼻音が代償音(破裂音)に化け、最初の音が大きく変わるため、語の同定困難性が高まります。