第19回 言語聴覚士国家試験 第83問
運動障害性構音障害第19回
誤っている組み合わせはどれか。
- 1.声量低下 ― DAFを使った訓練 ✓
- 2.舌筋力低下 ― 舌抵抗訓練
- 3.声門閉鎖不全 ― プッシング法
- 4.声の高さの異常 ― Kayser-Gutzmann法
- 5.発話速度更新 ― ポインティングスピーチ
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 声量低下 — DAFを使った訓練
声量低下(声が小さい)はパーキンソン病など運動低下性構音障害に特徴的な症状であり、DAF(遅延聴覚フィードバック)は「過度に速い話速」の改善に用いるため、適用対象が異なります。声量低下に対しては呼気圧の増加や音声強度増大訓練が適切です。
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【各選択肢の解説】
1. 声量低下 — DAFを使った訓練
❌ 誤り。DAFは加速現象(話速の異常な加速)の改善に用いられ、パーキンソン病の加速現象に有効です。一方、声量低下は呼気圧低下が主原因であり、腹部のプッシング訓練や声量強化訓練が適応となります。音声の質や量の問題と話速の問題を混同しやすい誤答です。
2. 舌筋力低下 — 舌抵抗訓練
✅ 正しい。弛緩性麻痺(球麻痺など)による舌筋力低下に対して、舌を口蓋や歯に押し当てて抵抗を加える舌抵抗訓練は標準的な治療法です。開鼻声や構音不明瞭の改善に有効です。
3. 声門閉鎖不全 — プッシング法
✅ 正しい。声門閉鎖不全(気息性嗄声)に対するプッシング法(閉眼プッシング)は、腹部圧迫と声門閉鎖を同時に行い、声帯接触を増強する古典的治療法です。両側反回神経麻痺など気息性嗄声に有効です。
4. 声の高さの異常 — Kayser-Gutzmann法
✅ 正しい。Kayser-Gutzmann法は、口腔内に指を挿入して軟口蓋を刺激し、声道の共鳴特性を変化させる方法で、声の高さや質の改善に用いられます。開鼻声の訓練にも応用されます。
5. 発話速度更新 — ポインティングスピーチ
✅ 正しい。ポインティングスピーチ(指をさしながら話す)は、過度な加速現象を抑制する代償的手段として有効です。小脳失調症やパーキンソン病で加速現象が顕著な場合に用いられます。
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【試験対策ポイント】
運動障害性構音障害の訓練方法(Mayo分類別)
| 障害タイプ | 主症状 | 適用訓練 | 不適切な組み合わせ例 |
|---|---|---|---|
| 運動低下性 | 声量低下・単調 | 呼気圧訓練、声量強化 | DAFは無効 |
| 痙性 | 努力性嗄声 | リラクセーション | - |
| 弛緩性 | 開鼻声・気息性嗄声 | 舌抵抗、プッシング法 | - |
| 失調性 | 加速現象・断綴性 | ポインティング、DAF | - |
| 運動過剰性 | - | - | - |
DAFの役割
- 加速現象(話速が異常に速まる)の改善に特化
- 声量低下には直接効果がない
プッシング法の活用場面
- 気息性嗄声(一側・両側反回神経麻痺)
- 声門閉鎖不全
Kayser-Gutzmann法
- 鼻咽頭閉鎖機能の補完
- 開鼻声や音声共鳴の改善
ポインティングスピーチ
- 加速現象の抑制
- リズムの外部制御