第19回 言語聴覚士国家試験 第85問
嚥下障害第19回
嚥下内視鏡検査について正しいのはどれか。
a.口腔での食塊形成を観察することができる。
b.食物を用いた検査が可能である。
c.喉頭の知覚を評価することができる。
d.喉頭残留を観察することができる。
e.誤嚥の検出はできない
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — b,c,d
嚥下内視鏡検査(VE)は、スコープを鼻腔から挿入し、咽頭・喉頭部分の嚥下機能を直視下で観察する検査です。口腔期以後の各相における器質的異常・運動異常・残留・誤嚥を評価できますが、「嚥下反射発動時はホワイトアウトするため観察できない」という重要な限界があります。
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【各選択肢の解説】
a. 口腔での食塊形成を観察することができる。
❌ 誤り。嚥下内視鏡検査は鼻腔からスコープを挿入するため、口腔内(口腔準備期)の食塊形成は直視できません。口腔期の評価には嚥下造影検査(VF)が適しています。
b. 食物を用いた検査が可能である。
✅ 正しい。VEは造影剤を必要としないため、食物・飲料に色素を混ぜて実際の嚥下食で検査が可能です。VFと異なり、実物での検査が実現可能という利点があります。
c. 喉頭の知覚を評価することができる。
✅ 正しい。VEでは上喉頭神経内枝の支配領域(喉頭蓋喉頭面など)に刺激を加えて、知覚鈍麻の有無を評価できます(例:綿棒やカテーテルで接触刺激)。
d. 喉頭残留を観察することができる。
✅ 正しい。咽頭期後の喉頭内(前庭部・声門下)への食物残留(喉頭残留)は、VEで直視下に観察できる主要な評価項目です。
e. 誤嚥の検出はできない。
❌ 誤り。VEは声門下への食物の進入(誤嚥)を直視下に観察でき、誤嚥の有無・程度を重要な評価指標とします。ただし「嚥下反射発動時のホワイトアウト現象により、咽頭期中の詳細な運動は観察困難」という限界があることに注意。
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【試験対策ポイント】
嚥下検査法の比較
| 項目 | VE(内視鏡検査) | VF(造影検査) |
|---|---|---|
| **口腔期観察** | ❌ 不可 | ✅ 可能 |
| **咽頭期観察** | 部分的(ホワイトアウト) | ✅ 全相観察可 |
| **実物食での検査** | ✅ 可能 | ❌ 困難(造影剤使用) |
| **喉頭知覚評価** | ✅ 可能(刺激試験) | ❌ 不可 |
| **喉頭残留検出** | ✅ 可能 | ✅ 可能 |
| **誤嚥検出** | ✅ 可能 | ✅ 可能 |
| **被曝リスク** | ❌ なし | ⚠️ あり |
VEの重要な限界
- 嚥下反射発動時→咽頭部がホワイトアウト→咽頭期の詳細な運動は評価不可
- VFとの役割分担:VE=咽頭下部~喉頭+知覚評価、VF=全相の運動軌跡
頻出の誤解パターン
- 「VEで口腔期が観察できる」:誤り。スコープが咽頭奥に位置するため口腔前方は見えない
- 「VEでは誤嚥が検出できない」:誤り。むしろ直視下に声門下への食物進入を観察できる