STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第19回 言語聴覚士国家試験 第9問

小児科学第19回
注意欠陥╱多動性障害の学童について正しいのはどれか。
  1. 1.聴覚障害を合併する。
  2. 2.家族歴は認められない。
  3. 3.人格障害に包括される概念である。
  4. 4.症状は学校以外の場面でも現れる。 ✓
  5. 5.学業成績は低下しない。

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 症状は学校以外の場面でも現れる。 ADHD(注意欠陥/多動性障害)は複数の場面で症状が認められることが診断基準の重要な要件です。学校だけでなく家庭や医療機関など複数の環境で不注意や多動性・衝動性が観察される必要があります。単一の場面での症状出現では診断基準を満たしません。 --- 【各選択肢の解説】 1. 聴覚障害を合併する。 ❌ 誤り。ADHDと聴覚障害の間に必然的な関連性はありません。ADHDは神経発達障害であり、聴覚障害は感覚器官の問題です。ただし両者が独立して並存する可能性は低くありません。 2. 家族歴は認められない。 ❌ 誤り。ADHDは高い遺伝性を有する障害であり、家族歴が認められることがむしろ一般的です。一親等(親・きょうだい)に同様の症状を持つ者がいる割合は高く、遺伝的因子が強く示唆されています。 3. 人格障害に包括される概念である。 ❌ 誤り。ADHDは神経発達障害(neurodevelopmental disorder)に分類され、人格障害(personality disorder)とは異なるカテゴリーです。人格障害は成人期の比較的安定した人格パターンの問題であり、ADHDは小児期発症の神経生物学的基盤を持つ障害です。 4. 症状は学校以外の場面でも現れる。 ✅ 正しい。DSM-5やICD-11の診断基準において「複数の場面での症状出現」が必須要件です。学校、家庭、医療機関など2つ以上の異なる環境で症状が認められることが診断の前提条件となっており、学校適応不全だけでは診断されません。 5. 学業成績は低下しない。 ❌ 誤り。ADHDの中核症状である不注意は学業成績に直結します。授業中の集中困難、宿題の未完成、読み書き時の誤り増加により、学業成績の低下が多くの症例で認められます。成績維持例もありますが、一般的には学業的困難を伴うことが多いです。 --- 【試験対策ポイント】 ADHD診断の必須要件と頻出の誤解: | 項目 | 正しい知識 | 誤りやすい点 | |---|---|---| | 診断基準 | 複数場面での症状認定が必須 | 学校だけで診断されると思う | | 遺伝性 | 高い家族歴あり(一親等20-40%) | 「家族歴なし」と錯誤 | | 分類 | 神経発達障害 | 人格障害や行動障害と混同 | | 学業への影響 | 成績低下が多い | 「認知能力に異常なし=成績良好」と誤解 | | 合併症 | 学習障害・不安障害など | 聴覚障害との特定の関連なし | ADHDの診断には「複数場面での症状確認」「家族歴の聴取」「学業成績の聴取」がセットで行われることを念頭に置きましょう。
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