第19回 言語聴覚士国家試験 第91問
小児聴覚障害第19回
高度難聴の乳幼児をもつ養育者に対する聴覚口話コミュニケーション指導として適切でないのはどれか。
- 1.視覚的手段の利用
- 2.児の視線への注目
- 3.声の豊かな抑揚
- 4.児の発音の修正 ✓
- 5.声掛けの際の位置
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 児の発音の修正
高度難聴児への聴覚口話コミュニケーション指導では、児が音声を知覚し、口唇読取と結合させながら音声言語を習得していくプロセスを支援することが重要です。発音修正を直接的に行うのではなく、むしろ児の発話機会を増やし、自然な模倣学習を促進する環境を作ることが適切です。補聴器の活用を前提とした聞き取りやすい音声提示、視覚的刺激の活用が優先されます。
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【各選択肢の解説】
1. 視覚的手段の利用
✅ 正しい。高度難聴児は音声情報の獲得が限定的なため、文字・手話・身振りなど視覚的手段を組み合わせたマルチモーダルなアプローチが必須です。特に口唇読取を支援する視覚情報が聴覚口話指導の中核をなします。
2. 児の視線への注目
✅ 正しい。高度難聴児が話者の口唇読取と顔表情を捉えるため、児の視線が話者に向くよう工夫することは聴覚口話コミュニケーション指導の基本技術です。視線がない場合は指導が成立しません。
3. 声の豊かな抑揚
✅ 正しい。補聴器装用下における音声知覚を促進するため、抑揚・強弱・速度変化など音声の特徴を際立たせることは有効です。単調な話しかけより、変化に富んだ音声提示により児の聴覚的注目が向きやすくなります。
4. 児の発音の修正
❌ 誤り。聴覚口話指導初期段階では、児が発話する機会を増やし、話者の音声モデルから自然に学習することを優先します。直接的な発音修正は児の発話意欲を阻害し、コミュニケーション機会の喪失につながるため避けるべきです。音韻獲得は後期段階で段階的に指導されます。
5. 声掛けの際の位置
✅ 正しい。児が話者の口唇読取を十分に行えるよう、話しかけの際の位置(距離・高さ・角度)に配慮することは重要です。逆光を避け、児の視野内で明確に見える位置から話しかけます。
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【試験対策ポイント】
聴覚口話コミュニケーション指導の段階と優先順位:
初期段階(主要)
・コミュニケーション機会の拡大
・聴覚的刺激(補聴器の活用)
・視覚的刺激(口唇読取支援)
・モデル提示(話者の音声・口形)
後期段階(発展)
・音韻の段階的指導
・発音パターン学習
・音声品質の改善
児の発音修正が適切でない理由
1. 発話意欲の低下を招く
2. コミュニケーション否定につながる
3. 自然習得を妨害する
4. 初期段階では優先度が低い
指導環境調整の5要素(選択肢群から)
| 要素 | 具体的工夫 |
|---|---|
| 視覚情報 | 口唇読取が見えやすい位置・照度 |
| 児の視線 | 話者への注目を促す指導 |
| 音声特性 | 抑揚・強弱をつけた入力 |
| 発話機会 | 修正ではなく模倣機会の提供 |
| 関係構築 | ポジティブなコミュニケーション環境 |