STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第19回 言語聴覚士国家試験 第94問

聴覚系第19回
感音難聴を生じないのはどれか。
  1. 1.髄膜炎
  2. 2.脳幹梗塞
  3. 3.慢性中耳炎
  4. 4.ハント症候群
  5. 5.良性発作性頭位めまい症 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 良性発作性頭位めまい症 良性発作性頭位めまい症(BPPV)は耳石器(特に卵形嚢)の耳石膜からの脱落によるもので、内耳の感音装置(蝸牛)には障害が生じません。一方、選択肢1~4はすべて何らかの機序で感音難聴を引き起こす可能性があります。 --- 【各選択肢の解説】 1. 髄膜炎 ❌ 誤り。化膿性髄膜炎は蝸牛膜迷路炎を併発し、感音難聴を生じます。特に小児期の髄膜炎後の聴力低下は重篤な後遺症として知られています。蝸牛の蛸牛神経管を通じて病原体が侵襲するため、両耳の高音部から始まる感音難聴が典型的です。 2. 脳幹梗塞 ❌ 誤り。脳幹には聴覚路(下丘、上オリーブ核を含む聴覚中枢経路)が通過しており、梗塞によってこれらの構造が障害されると感音難聴に相当する聴覚情報処理障害が生じます。ただし蝸牛レベルの損傷ではなく、中枢的障害です。 3. 慢性中耳炎 ❌ 誤り。慢性中耳炎は炎症の進行に伴い、蝸牛窓(ラウンドウィンドウ)を通じた感染波及により、蝸牛そのものが侵襲されて感音難聴が生じます。長期化すると二次的な感音成分が加わり、混合難聴へと進展します。 4. ハント症候群 ❌ 誤り。ハント症候群(顔面神経帯状疱疹)は顔面神経のヘルペス感染症で、同じ茎乳突孔内を走行する鼓索神経を経由して、または蝸牛膜迷路炎の波及により感音難聴を生じます。耳痛、耳漏、顔面麻痺とともに難聴が特徴です。 5. 良性発作性頭位めまい症 ✅ 正しい。BPPVは耳石膜(通常は卵形嚢)からの耳石粒の脱落が原因で、三半規管内で異常刺激を生じるものです。前庭機能の障害であり、蝸牛(音感受器官)には直接障害がないため、聴力低下は生じません。めまいと眼振が特徴で、難聴を伴いません。 --- 【試験対策ポイント】 感音難聴を引き起こすメカニズム | 疾患 | 難聴の原因部位 | 聴覚への影響 | |---|---|---| | 髄膜炎 | 蝸牛膜迷路炎→蝸牛神経損傷 | 感音難聴(両耳、高音域優位) | | 脳幹梗塞 | 聴覚中枢路障害 | 中枢性聴覚障害 | | 慢性中耳炎 | 蝸牛窓波及、蝸牛膜迷路炎 | 混合難聴(感音成分加算) | | ハント症候群 | 蝸牛膜迷路炎、顔面神経経由 | 感音難聴+めまい+顔面麻痺 | | **BPPV** | **前庭系のみ(卵形嚢耳石膜脱落)** | **聴力正常** | キーポイント - BPPVは「めまい疾患」であり「聴覚系疾患」ではない - めまい+難聴の組み合わせが出た場合→メニエール
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