第19回 言語聴覚士国家試験 第95問
成人聴覚障害第19回
中途失聴者に対する言語聴覚士が行う初期の対応としてを適切でないのはどれか。
- 1.補聴器・補聴システムの適合
- 2.構音指導 ✓
- 3.心理的支援
- 4.コミュニケーションストラテジーの促進
- 5.対応時の書記併用
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 構音指導
中途失聴者は、失聴前に音声言語を習得・定着させているため、構音能力自体は維持されています。初期段階で優先すべきは、コミュニケーション手段の確保と心理社会的適応であり、構音指導は必ずしも必要ではありません。
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【各選択肢の解説】
1. 補聴器・補聴システムの適合
✅ 正しい。中途失聴者の初期対応として、残存聴力を活用するための補聴器や補聴システム(FM補聴器など)の適合は最優先事項の一つです。聴力活用により、コミュニケーションの円滑化を図ります。
2. 構音指導
❌ 誤り。中途失聴者は既に正常な構音能力を獲得しており、失聴によって構音そのものが障害されるわけではありません。初期段階では構音指導は適切でなく、むしろ聴覚情報の喪失に対応するための他の支援が優先されます。
3. 心理的支援
✅ 正しい。失聴による急激な聴覚喪失は、抑うつ、不安、社会的孤立など深刻な心理的困難をもたらします。初期段階での傾聴と心理的支援は、その後のリハビリテーション全体の基盤となります。
4. コミュニケーションストラテジーの促進
✅ 正しい。中途失聴者が音声言語によるコミュニケーション以外の手段(読話、筆談、手話など)を習得・活用することは、日常生活の再構築に不可欠です。初期段階での導入が重要です。
5. 対応時の書記併用
✅ 正しい。STや医療スタッフが患者と対話する際、紙と筆記具を使用することで、直ちにコミュニケーション環境を整備できます。信頼関係構築と情報共有を同時に実現する実践的な方法です。
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【試験対策ポイント】
中途失聴者 vs. 先天性聴覚障害児の対応の違い
| 項目 | 中途失聴者 | 聴覚障害児 |
|---|---|---|
| 言語習得 | 既に習得済み | 習得段階・習得困難 |
| 構音能力 | 維持されている | 習得段階で障害される |
| 初期対応 | コミュニケーション手段確保・心理支援 | 言語発達支援・構音指導 |
| 手話導入時期 | 初期段階で有用 | 発達初期から |
| 構音指導 | 不要 | 必要 |
中途失聴者の初期対応のキーワード:
- 「聴覚活用」→補聴器・補聴システムの適合
- 「心理社会的適応」→傾聴・心理的支援
- 「代償手段習得」→コミュニケーションストラテジー・手話・筆談
- 「実践的対応」→対応時の書記併用
国試では「失聴時期の違いが対応を決定する」という論理を常に確認することが重要です。